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【主張】首相の中東歴訪 経済と安保の関係深化を

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首脳会談に臨むカタールのタミム首長(右端)と岸田首相=7月18日、ドーハ(共同)

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岸田文雄首相がサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールの中東3カ国歴訪を終えて帰国した。日本と各国は、脱炭素に向けた次世代エネルギー開発や安全保障など幅広い分野での協力を確認した。

 

日本の首相の中東訪問は3年半ぶりである。日本は原油輸入の大半を中東に依存する。中東との協力強化は日本のエネルギー安全保障上の生命線を守る意義がある。

 

中東には、紛争や貧困に苦しむ国もある。中東の多くの国と友好関係を持つ日本には、地域の安定に積極的に貢献することも同時に求められよう。岸田首相の歴訪を機に、重層的で継続的な中東外交を進めなくてはならない。

 

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ロシアのウクライナ侵略で世界のエネルギー市場が不安定化しており、日本は、原油などの安定確保の必要性が高まっている。

 

サウジなどは、資源頼みの経済から脱炭素への変革を模索しており、水素やアンモニアなど日本が高い技術を持つ次世代エネルギー開発などに関心がある。双方が協力できることは多い。

 

サウジアラビアのムハンマド皇太子(右)と歓迎式典に臨む岸田首相=7月16日、ジッダ(共同)

 

首相は日本企業幹部らを率いた歴訪で、各国首脳に「中東地域をクリーンエネルギー供給のハブにしていく」との構想を語った。日本が官民による技術協力や投資などを通じ、従来の産油国と消費国という依存的関係を脱し、新たな協力関係を築くのは妥当だ。

 

外交・安全保障分野の連携強化でも一致した。サウジとは外相級の戦略対話を新設する。カタールとの関係は「戦略的パートナーシップ」に格上げされ、防衛当局の局長級協議などが行われる。

 

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ここで念頭に置くべきは、覇権を追求する中国が中東で存在感を高めていることである。

 

米国がインド太平洋地域に外交・軍事の比重を移す中、その間隙(かんげき)を突くように中国は中東外交を活発化させてきた。習近平国家主席は昨年12月に国賓としてサウジを訪れ、今年3月にはサウジとイランの国交正常化を仲介した。

 

問われているのは、中国のように国際秩序を乱す国が中東で影響力を高める現実にいかに対応するかである。岸田首相は会見で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の堅持という「根源的な原則を確認し合うことができた」と述べた。原則だけでなく行動も伴うよう、米欧とともに中東外交をさらに深化させるべきである。

 

 

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2023年7月20日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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