岸田首相 中国と領有権で対立のフィリピン、マレーシア歴訪へ
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岸田文雄首相は11月3~5日の3連休に東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国のフィリピンとマレーシアを歴訪する方向で最終調整に入った。7日、複数の政府関係者が明らかにした。南シナ海の領有権への野心を隠さない中国に対し、ASEANの一部加盟国に不信感が広がる中、フィリピン、マレーシア両国との結びつきを強固にしたい考えだ。フィリピンとは安全保障分野での成果文書も取りまとめる方向だ。
日本の首相による両国の訪問は、いずれも安倍晋三元首相以来で、岸田首相の就任後は初となる。
日本政府はASEANとの友好協力50周年を記念して12月16~18日の日程で、日ASEAN特別首脳会議を東京都で開催する。首相は、フィリピンのマルコス大統領やマレーシアのアンワル首相との会談で特別首脳会議への協力を求める。8日からベトナムなどASEAN4カ国を歴訪する上川陽子外相とともに特別首脳会議への準備を整える意向だ。
加えて、首相が念頭に置くのは、強引に南シナ海の実効支配を進める中国の抑止だ。特に、フィリピン近海では中国海警局の船舶がフィリピン船の航行を妨害する事案が続発している。
また、中国が8月に公表した「2023年版標準地図」では、南シナ海のほぼ全域の領有を主張した。フィリピンが声明で「中国の主権主張を正当化しようとする試みで、何の根拠もない」と反発したほか、中国との経済的な結びつきが強いマレーシアもボルネオ島(カリマンタン島)沖の自国の排他的経済水域(EEZ)と重なる水域を中国領にしていると非難した。
フィリピンと米国の海軍は10月2日にフィリピン周辺海域で合同演習を行い、日本が海上自衛隊を派遣。カナダ、英国の艦船も参加した。首相としては、フィリピンとの安保分野での連携を加速するほか、マレーシアの中国傾斜へもくさびを打ちたい考えだ。
日本が4月に創設し、フィリピンとマレーシアを今年度の対象国としている防衛装備品を提供する無償資金協力の新制度「政府安全保障能力強化支援(OSA)」の進捗についても意見を交わすとみられる。
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