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【主張】鈴木宗男氏の訪露 侵略国擁護は容認できぬ

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日本維新の会の党紀委員会後、記者団の取材に応じる鈴木宗男参院議員=10月6日午後、国会内(矢島康弘撮影)

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日本維新の会の鈴木宗男参院議員が5日間にわたりロシアを訪問した。プーチン露大統領がウクライナ侵略を始めてから国会議員の訪露は初めてだ。

 

問題の大きい行動である。維新の会では、鈴木氏が露メディアにロシアの勝利を確信するとの発言をしたことを問題視する声がある。党への事前の届け出なしに訪露したことなどもあり処分が検討されている。

 

日本維新の会の党紀委員会後、記者団の取材に応じる鈴木宗男参院議員=10月6日午後、国会内(矢島康弘撮影)

 

そもそも、政府はロシア全土に渡航中止勧告以上の危険情報を発している。そうした中で鈴木氏は訪露を強行した。とりわけ現地での鈴木氏の言動は看過することができない。

 

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鈴木氏と会談したコサチョフ上院副議長は「日本が対露制裁に参加した結果、日露関係は第二次大戦後、最悪の状況になった」と日本政府を批判した。鈴木氏は「私も副議長と同じ考えだ」と同調し、「安倍晋三元首相がプーチン氏と極めて良好な関係を築いたのを、わずか1年で岸田文雄首相がマイナスの方にしてしまった」と述べた。

 

耳を疑う言葉である。元凶はプーチン氏の妄執による大義なき侵略だ。鈴木氏の認識は国際法違反の侵略を擁護しかねないもので、容認できない。

 

ロシア側との協議内容について報道陣の取材に応じる鈴木宗男参院議員=10月3日、モスクワ(小野田雄一撮影)

 

露外務省によると、鈴木氏はルデンコ外務次官には「一にも二にも停戦が一番だ。ロシアが主導的立場でそうすべきだ」と語った。鈴木氏はロシアの侵略開始以来、「紛争や戦争には双方に言い分がある」と「けんか両成敗」を説いてきた。

 

しかし、ロシアが想定する停戦は、ウクライナで奪った領土の固定化を意味する。ウクライナのゼレンスキー政権が「露軍の全占領地からの撤退なくして停戦はない」と強調するのはこのためである。鈴木氏はロシアの言い分に迎合するのか。

 

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プーチン政権は侵略を「祖国防衛戦争」とすり替えて国民の愛国心を煽(あお)っている。鈴木氏は侵略を否定するロシアの宣伝工作に加担するような行動は厳に慎まねばならない。

 

記者団の取材に応じる鈴木宗男参院議員=10月10日午後、国会内(矢島康弘撮影)

 

北方領土問題に関わってきた鈴木氏はルデンコ氏に北方四島への元島民の墓参の再開も求めた。そこには領土交渉を前進させたい思いもあろうが、プーチン政権は「領土交渉などしていない」とし、領土問題には目もくれない。鈴木氏は日本が一貫してロシアに愚弄されてきた現実を直視すべきだ。

 

 

ウクライナを侵略中のロシアを党に無断で訪問した日本維新の会の鈴木宗男参院議員が10月10日、離党届を提出し、受理された。鈴木氏に下される予定だった除名処分は見送られた。

 

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2023年10月8日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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