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【主張】日比首脳会談 準同盟級の関係構築急げ

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日本の首相として初めてフィリピン議会で演説に臨み、手を振る岸田文雄首相==11月4日、マニラ首都圏ケソン市(ロイター)

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日本とフィリピンが「準同盟」級の関係に向けて歩を進めたことを歓迎したい。

 

岸田文雄首相がフィリピンを訪問しマルコス大統領と会談した。両首脳は自衛隊と比軍の相互往来をスムーズにする「円滑化協定(RAA)」の交渉入りや、比軍への沿岸監視レーダーの無償供与で合意した。

 

日本がRAAを結んでいるのは「準同盟国」と位置付ける英国とオーストラリアだけだ。沿岸監視レーダーの供与は、日本が同志国軍を支援する「政府安全保障能力強化支援(OSA)」の初適用となる。

 

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会談前に、フィリピンのマルコス大統領(右)と握手する岸田首相=11月3日、マニラ(共同)

 

フィリピンは東南アジア諸国連合(ASEAN)で第2位の人口を有し経済も成長している。日本の安全保障にとって重要な存在で「準同盟」級の関係への格上げが必要だ。

 

日比両国は東・南シナ海で中国の軍事活動活発化に直面している。フィリピンが中国と領有権を争っている南シナ海は日本にとって安保、通商の両面で極めて重要なシーレーン(海上交通路)だ。両国は台湾を挟む位置にあり、台湾有事とは無縁ではいられない。

 

フィリピンと米国の海軍合同演習の開会式=10月2日(ロイター)

 

両首脳は会談で「力による一方的な現状変更の試みは容認できず、東・南シナ海の状況に対する深刻な懸念を共有」した。マルコス大統領は共同記者発表で、「日本とは安保上の懸念を共有している」と明言した。

 

中国の軍事的威圧によってフィリピンが「自由で開かれたインド太平洋」を追求する仲間から脱落すれば、日本の安保・経済環境は悪化する。自由と民主主義を掲げる台湾の存立も脅かされる。

 

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岸田首相の演説が行われたフィリピン議会=11月4日、マニラ(共同)

 

岸田首相は比議会で演説し、経済協力の約束に加え、「『自由』と『法の支配』を守り抜くとの決意」を表明した。「力ではなく法とルールが支配する海洋秩序を守り抜いていこう」と呼びかけた。

 

両国はそれぞれ米国と同盟を結んでいる。日米比3カ国が協力して対中抑止力を高めていくことは重要だ。10月には米比海軍の合同演習に海上自衛隊も参加した。6月には海上保安庁など日米比の海上保安機関が初めて合同訓練を実施した。両首脳は会談で、米国も含めた3カ国の協力推進を確認した。

 

自由な海を守る上で重要なフィリピンとの協力を迅速に進めていきたい。

 

 

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2023年11月5日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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