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【主張】AI安全サミット 真の国際連携を深めたい

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英ロンドン郊外で開かれた「AI安全サミット」に出席したスナク首相(前列右から4人目)ら=11月2日(ロイター)

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英国の主催によりロンドン近郊で開催された「人工知能(AI)安全サミット」が11月1日から2日間の会期を終えて閉幕した。

 

人間との自然な対話で知的処理をこなすチャットGPTをはじめ、驚異的な発達をみせる生成AIのリスク管理などに焦点を当てた世界初の多国間での取り組みだ。

 

日英米など28カ国と欧州連合(EU)の政府高官やAI企業の代表らの討議で、会場の名を冠した「ブレッチリー宣言」がまとまった。

 

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「AIのリスクと可能性に関する国際的な理解を共有する」ことを基調とする内容で、開発企業が次世代AIモデルの公開に先立ち、国家主導の検証・評価を受けることなどを含んでいる。透明性を欠く開発では生物化学兵器やサイバーテロ、偽情報による壊滅的な被害の発生が危惧されていただけに、前向きの成果として受け止めたい。

 

英ロンドン郊外で開かれた「AI安全サミット」で、中国科学技術省の呉朝暉次官の演説を聞く(左から)レモンド米商務長官とドネラン英科学・革新・技術相=11月1日(ロイター)

 

しかし、課題も多い。生成AIに対する各国の姿勢の相違である。とりわけ「規制」に関して差が大きい。EUは巨額の制裁金を含む厳しい法律でAI乱用の防止を目指すのに対し、英国は経済成長へのAI活用を重視しており、強制力のある規制には消極的だ。

 

日本もイノベーションを妨げる可能性のある法規制ではなく、ガイドラインによる緩やかな対応を志向している。

 

米国はAI安全サミット開催直前の10月30日に、バイデン大統領がAI規制に関する大統領令に署名した。AI開発企業の自主規制を尊重する部分が大きく、開発促進の方向だ。

 

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中国も参加したが、国民支配の恣意(しい)的な統制を強化しており民主主義の国々との足並みがそろうことは期待しにくい。

 

英ロンドン郊外で開かれた「AI安全サミット」に出席したスナク英首相(手前中央)、フォンデアライエン欧州委員長(後方右)、イタリアのメローニ首相(後方左)ら=11月2日(ロイター)

 

初の多国間の討議で国際連携が謳(うた)われたものの、同床異夢の状態だ。本音は自国のAI開発に有利なルール作りへの主導権の獲得にある。

 

日本は5月の先進7カ国(G7)首脳会議以降、議長国としてAIの活用に関する国際ルール構築の枠組み「広島AIプロセス」を主導してきたが、技術開発では後発だ。官民の力の集中が急がれる。

 

人類の知能を凌駕(りょうが)しかねないAIは、先端テクノロジーが生んだ空前絶後の発明だ。覇権獲得の手段に用いれば、一気にリスクがメリットを上回る。

 

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2023年11月8日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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