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【主張】GDPマイナス 民間主導で内需牽引せよ

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経団連の十倉雅和会長=10月25日午後、東京・大手町(村山雅弥撮影)

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7~9月期の実質国内総生産(GDP)速報値が年率換算で2・1%減に落ち込んだ。個人消費や設備投資などの内需が盛り上がらず、昨年10~12月期以来、3四半期ぶりのマイナス成長である。

 

物価高に賃上げが追い付いていないことなどが響き、新型コロナウイルス禍から回復しつつあった景気に停滞感をもたらした。

 

政府は定額減税などを柱とする経済対策を閣議決定した。岸田文雄首相は経済界や労働団体の代表者と意見交換した11月15日の政労使会議で、今年を上回る賃上げへの協力を要請した。

 

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ただ、何よりも重要なのは民間の取り組みだ。賃上げや設備投資の機運を維持できるかどうかが問われる局面だ。積極的な経営で内需を牽引し、経済の好循環を確実に果たしたい。

 

賃上げ実現に向けての「政労使会議」で発言する岸田文雄首相(左)=11月15日午後、首相官邸(春名中撮影)

 

今夏は4年ぶりにコロナ禍に伴う行動制限がなく、消費拡大が期待された。それでも個人消費が前期比0・04%減とふるわなかったのは出費を控える節約志向が強まったためだろう。

 

物価変動を反映させた実質賃金は9月まで18カ月連続のマイナスだ。いかにプラスにできるかが消費を上向かせるカギを握る。経団連の十倉雅和会長は政労使会議後、来年の春闘に向けて「今年以上の賃上げを目指す意気込みで熱を傾けている」と語った。これを確実に果たし、大企業のみならず中小・零細企業の賃上げにもつなげたい。

 

政労使会議後、記者団の質問に答える経団連の十倉雅和会長=11月15日午後、首相官邸(春名中撮影)

 

企業収益の拡大は好材料である。円安で海外のもうけを膨らませた輸出企業や、インバウンド(訪日外国人客)の回復を追い風とした非製造業が利益をあげ、上場企業の最終利益の合計が今年度の通期で過去最高になるとみられる。持続的な賃上げの環境は整ってきたはずだ。

 

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7~9月期に0・6%減だった設備投資を積極化させられるかも焦点である。日銀の9月企業短期経済観測調査(短観)では令和5年度の設備投資計画が全規模全産業で大幅に伸びると見込まれたが、実際の投資には十分に結びついていない。

 

稼いだ利益をため込んだままでは、この先の成長は見込めまい。多くの産業で顕在化している人手不足に対処するためにも積極的な投資は不可欠だ。中国経済の減速などで外需の先行きも見通しづらい。だからといって守りの経営に終始するわけにはいかないと認識すべきだ。

 

 

2023年11月17日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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