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眼前に「石の神殿」神秘体験 宮谷石切場跡(福井・あわら市)

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人の営みと自然の景観が融合した不思議な空間が広がる石切場跡。内部にはノミやくさびの跡が残る =福井県あわら市(川口良介撮影)

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草木をかき分け狭いトンネルをくぐると、そこには石造りの神殿を思わせる空間が広がっていた。苔むした岩肌、反響する水滴が落ちる音-。まるで異世界を旅しているような、不思議な感覚に包まれた。

 

いま、「関西の奥座敷」あわら温泉(福井県あわら市)にほど近い採石場跡地「宮谷(みやだに)石切場跡」が観光資源として注目されている。

 

小さなトンネルを抜けて石切城跡へ入る。私有地のため、見学にはツアーへの参加が必要。12月~翌年2月は冬季休業する  =福井県あわら市(川口良介撮影)

 

西欧の建築技術が日本に浸透し始めた明治20年頃から、セメントが普及する昭和20年代後半の廃坑まで石が切り出されていた。

 

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「宮谷石」は加工しやすく耐火性があるため、家屋の基礎石に加え、火鉢やかまどなどにも使われる〝庶民の石〟だったという。

 

石切場の内部にはノミやくさびの跡も残る。場所によっては高さ15メートル以上にもなり、人の営みと、自然の景観が融合した不思議な空間が広がる =福井県あわら市(川口良介撮影)

 

石切場の内部は「間府(まぶ)」と呼ばれる、石を切り出した後の空間が6つ横穴でつながっている。幾つかの間府は地上に口を開け、夏場は木々の間をすり抜けて陽光が差し込む。光線が演出する非日常的な空間は、映画、CMの撮影や結婚式の前撮りなどに人気だ。

 

令和2年にガイド付きツアーを始めると客足は伸び、今年度は1千人に迫る勢いだという。来年3月には北陸新幹線が敦賀駅(同県敦賀市)まで延伸される。芦原(あわら)温泉駅にも新幹線が止まるようになるため、観光客はますます増えそうだ。

 

芦原温泉駅に併設する複合施設「AFLARE(アフレア)」 =福井県あわら市(川口良介撮影)

 

ツアーを運営するNPO法人・細呂木地区創成会の酒井敏雄会長(74)は「お客さんは秘境感を求めてやってくる。オーバーツーリズムにならないよう、保全と活用のバランスを取ることが今後の課題」と話す。

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再びトンネルを通り、外へ出た。傾き始めた西日に思わず目を細める。さっきまでの静寂が噓のように、あたりは虫や鳥の声であふれていた。

 

全長約1キロにわたるアメリカフウ並木道  =福井県あわら市(川口良介撮影)

 

筆者:川口良介(産経新聞写真報道局)

 

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