東南アジアの脱炭素へ支援機関設置 日ASEAN首脳会議期間中に合意へ
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12月中旬に開催予定の日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の特別首脳会議に合わせて開く「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」首脳会議の共同声明案の概要が8日、分かった。東南アジア地域の脱炭素化に向け、中核的な役割を担う政策シンクタンクの設立などを盛り込む方向だ。日本の経験や技術力を生かし、アジア流で脱炭素化を目指す。
政策シンクタンクの仮名称は「アジア・ゼロエミッションセンター」。ジャカルタの国際機関、東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)に設置し、来年から始動する。
二酸化炭素(CO2)の排出に課金する「カーボンプライシング」制度導入のほか、再生エネルギーの普及に不可欠な送配電の仕組み作りといった制度改革を支援する。
ドバイで開催された第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)では、フランスと米国が主導する石炭火力発電からの脱却を図る有志国連合に参加せず、日本は脱炭素に後ろ向きと受け止められている。
ただ、日本は原子力発電所の再稼働が遅れている上、地形の問題で太陽光パネルや風力発電所の設置場所の確保にも苦労する。ASEAN諸国も同様で、電力需要が急拡大する一方、都市部に人口が集中し再エネ普及に課題がある。
このため日ASEANは水素やアンモニアの混焼によって既存の石炭火力発電所のCO2排出を抑えつつ、再エネを普及拡大していくといった現実的な方法で、製造業のサプライチェーン(供給網)が広がるこの地域で丸ごと脱炭素化を目指す。シンクタンクはその旗振り役となる。
共同声明案には、AZECを支援する「賢人会議」の設置も入る。経団連やASEANの経済団体を中心に民間レベルで交流を進め、脱炭素化の流れを勢いづける。
AZEC構想は岸田文雄首相が昨年1月に発表した。日本とオーストラリアに、ミャンマーを除くASEAN各国を加えた11カ国が参加。首脳会合は初めて開催される。
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