fbpx
Connect with us

【主張】周庭氏の亡命 中国当局の報復を許すな

Published

on

オンラインで取材に応じる周庭氏=12月4日(ロイター)

~~

 

日本語が堪能な香港民主活動家として知られた周庭(アグネス・チョウ)氏(27)が、9月に香港を離れカナダの大学院に留学していることを公表した。12月末に香港の警察に出頭・報告する義務があったが、香港に戻らないことを決めた。事実上の亡命と受け止められている。周氏は「香港の状況や自らの安全、健康を考慮した。とてもつらい決断だった」と胸中を語った。

 

香港国家安全維持法(国安法)の施行後、さまざまな自由が奪われている香港に戻ってしまえば、二度と出られなくなるかもしれない。ようやく手にした自由を失いたくない。そう考えるのは当然のことである。非難されるべきは、人権を侵害する中国・香港当局の政策だ。

 

香港区議会選で、香政府トップの李家超行政長官が訪れる投票所の前を警戒する警察官ら=12月10日、香港(共同)

 

しかし香港の警察当局は「法律に挑戦する無責任な行為だ」と周氏を批判した。中国外務省の報道官も「いかなる人にも法外の特権はなく、犯罪行為は必ず処罰される」と強調した。

 

Advertisement

ならば、1989年に起きた天安門事件の際、民主化運動への武力弾圧を指示した責任者は処罰されたのか。2019~20年に香港で相次いだ反香港政府・反中国共産党デモの際、治安部隊に過剰な暴力による取り締まりを命じた責任者は法の裁きを受けたのか。

 

周氏が挑戦したのは法律ではなく、香港を覆う「恐怖による支配」である。今回、周氏が当局とのやり取りを明らかにしたことで、民主主義を求める人々を獄に入れ、移動の自由を制限し、市民を中国本土に連行して愛国教育を受けさせる「香港の中国化」の現状が改めて浮き彫りになった。

 

香港区議会選の開票所で記者会見を終え、引き揚げる香港政府トップの李家超行政長官=12月11日、香港(共同)

 

12月10日には香港区議会選が行われたが、民主派を排除した選挙の直接投票枠の投票率は27・5%と過去最低となった。中国による香港支配は十分な信任を得られなかったといえる。

 

現在、トロントで暮らす周氏は将来の夢について「自由に生きたい」と語るだけだ。香港にはまだ、無数の周氏がいることを忘れてはならない。

 

Advertisement

香港トップの李家超行政長官は「自首しなければ一生、逃亡者として追われることになる」と周氏を脅した。日本をはじめ国際社会は、周氏が身をもって示した香港の現状を直視し中国・香港当局が周氏に報復しないよう監視していくべきだ。

 

 

2023年12月12日付産経新聞【主張】を転載しています

 

この記事の英文記事を読む

 

Advertisement

 

Continue Reading
Click to comment

You must be logged in to post a comment Login

Leave a Reply