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【主張】閣僚・党幹部交代 安倍派排除で済む話か 国政の停滞あってはならぬ

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認証式を終え、記念撮影する斎藤健経産相、松本剛明総務相、岸田文雄首相、林芳正官房長官、坂本哲志農相(左から)=12月14日午後、首相官邸(安元雄太撮影)

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岸田文雄首相は、自民党安倍派の政治資金パーティーの裏金問題を巡り、松野博一官房長官、西村康稔経済産業相ら同派所属の4閣僚すべてを交代させる人事を行った。

 

事実上の更迭だ。後任には安倍派以外の派閥や無派閥の議員を充てた。同派事務総長でもある高木毅自民党国対委員長や、萩生田光一政調会長、世耕弘成参院幹事長も交代させる。

 

高木、松野、西村、萩生田、世耕各氏は「5人衆」と呼ばれる安倍派の有力議員で、いずれもパーティー券の販売ノルマ超過分について、派閥からキックバック(還流)を受けた疑惑が持たれている。

 

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衆院本会議で内閣不信任決議案が否決され、一礼する岸田首相(手前)ら=12月13日午後(共同)

 

国民への説明が急務だ

 

岸田政権では不祥事による政務三役の交代が続いてきた。だが、予算編成が大詰めを迎えたこの時期に、官房長官ら重要閣僚や党幹部を大幅に入れ替えるのは極めて異例だ。このような失態を招いたことに、首相や自民、派閥は猛省しなければならない。

 

安倍派を排除する人事が妥当だとしても、それで済む話とは到底いえない。党も派閥も議員も説明責任を果たしていないからだ。捜査中であることを理由に、事実関係を明らかにしないのは許されない。

 

首相は記者会見で「信頼回復のために、火の玉となって自民党の先頭に立ち取り組んでいく」と述べた。そうであるなら、派閥や議員に任せるのではなく、陣頭指揮を執って、期限を区切るなどして調査を指示すべきだ。国民の前に事実関係を明らかにしなければ、信頼の回復は得られない。

 

交代対象となった安倍派の宮沢博行防衛副大臣は派閥から還流分を受け取りながら、政治資金収支報告書に記載しなかったことを認め、「派閥から記載しなくてよいと指示があった」ことを明らかにした。派閥から箝口令が敷かれていたことも明かした。

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衆院本会議後、記者団の取材に応じる自民党の宮沢博行防衛副相=12月13日午後、国会内(春名中撮影)

 

安倍派座長の塩谷立元文部科学相や事務総長の高木氏は、派として議員に不記載を指示したのか、箝口令を敷いたのか、説明すべきだ。

 

政治資金問題を巡っては、岸田派にも超過分の収入を一部記載していなかった疑いが浮上している。二階派にも過少記載の指摘がある。

 

政治資金規正法は政治資金を「国民の浄財」と位置付け、「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにする」ことを目的にしている。

 

報告書に収支を記載せず、国民の監視から逃れようとしたのは、規正法の理念をないがしろにしている。国民への背信行為そのものだ。

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再び不祥事を起こさないようにするために、政治改革の断行が必要だ。規正法の改正が求められる。

 

 

政治改革で再発防止を

 

「政治とカネ」の問題を巡っては、これまでも昭和63年に発覚したリクルート事件や、平成16年に明らかになった日本歯科医師連盟から旧橋本派に流れた1億円のヤミ献金事件などがあり、その都度、規正法は改正されてきた。

 

だが、今回の問題が規正法の不十分さを示している。見直しにあたっては、罰則の強化や収支報告書への記載の範囲などが焦点になろう。

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衆院予算委員会で答弁を行う岸田文雄首相=11月21日午後、国会・衆院第1委員室(春名中撮影)

 

臨時国会では、国会議員に月額100万円が支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の改革が再び見送られた。使途の公開などの見直しも行われなければならない。来年の次期通常国会では、必ず実現してもらいたい。

 

もう一つ重要なことがある。国政の停滞はあってはならないということだ。

 

令和6年度予算案を編成し、年度内に成立させなければならない。物価高対策を着実に進め、賃上げも軌道に乗せることが欠かせない。将来の労働力人口を確保し、持続可能な社会保障制度を構築するために少子化対策も待ったなしの課題だ。

 

ロシアによるウクライナ侵略は続き、中東情勢も緊迫した状態である。中国は台湾併吞をにらみ軍備を増強し、北朝鮮は核ミサイル開発に余念がない。

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中国、ロシア、北朝鮮という専制国家に囲まれた日本にとっては、外交・安全保障政策のかじ取りが極めて重要だ。防衛力の抜本的強化を行っていかなければ、国家や国民を守ることができない。これらを肝に銘じ、政策遂行に万全を期さなければならない。

 

 

2023年12月15日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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