【主張】学術会議法人化案 反省なき税金投入だめだ
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日本学術会議の組織の見直しについて議論している内閣府の有識者懇談会が、法人化が望ましいとする報告書案をまとめた。
独立した立場で政府などに科学的助言を行う観点から「政府の機関であることは不適切である」と指摘し、「国とは別の法人格を有する組織になることが望ましい」と結論付けた。
現行法では「国の特別機関」の形態だが、政府は新たに法律を制定して設立する特殊法人化を想定している。
財政面については「国費に完全に依存するのではなく、将来的に一定程度の自主財源を確保することを目指すのは極めて自然なこと」と明記した。これは当面、相当な割合で税金を使って運営することを意味する。
法人化はよいとしても、国を代表する「ナショナルアカデミー」という位置付けを堅持する以上、今の軍事忌避の体質のままでは、国費の投入は到底受け入れられない。
学術会議は東西冷戦期に「軍事目的のための科学研究を行わない声明」などを出し、平成29年にその継承を宣言した。これらが、防衛力の充実に関する研究を妨害する動きに利用されてきた。「ナショナルアカデミー」として存続したいなら、過去の間違った言動の反省と声明の撤回は最低限必要だ。
学術会議は、有識者懇による報告書案の取りまとめに先立ち、組織の在り方に関する声明を出した。身勝手な主張は相変わらずである。
組織変更の条件として、活動面や会員・会長選考での独立性確保を要求しているが、首相の人事権を否定するに等しい。「国の責任において、安定的な財政基盤が継続的に確保されるようにすべきだ」とも注文をつけており、これでは税金で運営している現在と変わらない。
声明には「法人化するか、国に存置するかの議論に拘泥することなく、継続的な協議を望む」とも記した。結論の先延ばしを図ることで、既得権益を守ろうとしているのか。
政府との間で「信頼関係の再構築が重要だ」としているが、令和2年に菅義偉首相(当時)が任命しなかった元会員候補6人の起用を求める限り、信頼関係は築けまい。この問題に固執する非常識な振る舞いはやめるべきだ。
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2023年12月18日付産経新聞【主張】を転載しています
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