fbpx
Connect with us
Advertisement

梨園のプリンス、市川染五郎さん 東京・歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」で3役に挑戦

Published

on

「歌舞伎の本興行でさまざまなお役をさせていただくことが増えた」と話す市川染五郎さん(松竹提供)

~~

 

十代とは思えない落ち着いた物腰に貴公子然とした顔立ちで、〝梨園のプリンス〟という言葉がぴったりな八代目市川染五郎さん(18)。歌舞伎界の名門、高麗屋の遺伝子を受け継ぎ、将来を期待されている。最近活躍の場を広げており、来年1月の東京・歌舞伎座公演「壽 初春大歌舞伎」(1月2~27日)では3演目に出演する。染五郎さんが本公演について語った。

 

 

完全にあほに徹して

 

昼の部では、父親の十代目松本幸四郎さん(50)とともに狐と狸の化かし合いのように、夫と妻がだまし合う「狐狸狐狸ばなし(こりこりばなし)」に出演。初役でちょっと頭の弱い雇人の又市に挑戦する。

 

Advertisement

幸四郎さんから役作りのアドバイスを受けたという染五郎さん。「又市はあほなふりをしている役なので、正気に戻ったときの違いをはっきりと見せるように言われました。あほのふりをするというより、完全にあほに徹っして、お客さまもだます感じで演じたい」

 

展覧会「松本幸四郎家 高麗屋展」のオープニングセレモニーに出席した歌舞伎俳優・松本幸四郎(右)と長男の市川染五郎 =2023年3月23日、東京・日本橋高島屋(八木拓郎撮影)

 

これまで染五郎さんは「弥次喜多」や「吉原狐」など、ドタバタ喜劇調の歌舞伎にも出演し、軽やかに演じてきた。

 

「意外と笑わせるのは好きですね。コメディーが好きというより、いろいろな役ができる役者になりたいので、三枚目な役もできるようになりたいです」

 

夜の部では、初春らしい祝祭舞踊「鶴亀」に従者役で、同世代の三代目尾上左近さん(17)らとともに出演する。「お正月らしい作品なので、華やかな気持ちで1年をスタートしていただけるような踊りにしたい」と意気込む。

 

Advertisement

「同世代の役者が少ない世代なので、左近君と一緒に出させていただけるのはうれしい。同世代だからこそ受ける刺激もたくさんあるので、個人的にはいちばん楽しみなところです」と声を弾ませた。

 

 

親子三代で「息子」披露

 

また同じく夜の部では、祖父の二代目松本白鸚さん(81)や父、幸四郎さんと親子三代で、英国の戯曲を小山内薫が翻案した「息子」を披露する。

 

すでに稽古を始めているが、「祖父と父と3人で出させていただけるのがうれしい。出演者が3人だけの芝居というのは、なかなかないのでは。日常会話のような、せりふが逆に難しい」と、作品の印象を語った。

 

Advertisement

2018年、高麗屋直系親子三代襲名披露興行「壽初春大歌舞伎」の襲名披露口上であいさつする歌舞伎俳優の(右から)松本幸四郎改め二代目松本白鸚、市川染五郎改め十代目松本幸四郎、松本金太郎改め八代目市川染五郎=東京都中央区・歌舞伎座(代表撮影)

 

一方、令和5年を振り返り、いちばん印象に残った舞台として、9月に上演された「俳優祭」で「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」の車引(くるまびき)の場で松王丸を演じたことを挙げた。

 

「高麗屋というと『勧進帳』の弁慶や『菅原伝授手習鑑』の松王丸だったり、『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ』の仁木弾正(にっきだんじょう)だったり、スケールの大きな立ち役のイメージがあるので、〝ザ・高麗屋〟という役をやらせていただけたのがすごくうれしかった」

 

さらに「最近は祖父に役を教わることがなかったが、松王丸は声の出し方から、決まりの形、小道具の扱い方まで祖父に見てもらった。役者として目標としている祖父から直接教えてもらったことが何よりもうれしかったし、祖父からいろいろと教わっておきたいと改めて思いました」

 

最後に本公演について、「さまざまな毛色の作品がそろっていると思うので、いろいろな世代の方々や海外の方にも来ていただきたい。お正月らしい華やかな装飾がされた劇場の空気感もぜひ楽しんでほしい」とPRした。

 

Advertisement

問い合わせは、チケットホン松竹(0570-000-489)。

 

2006年、歌舞伎「秀山祭九月大歌舞伎」の製作発表に参加した(左から)七代目市川染五郎(現・十代目松本幸四郎)、九代目松本幸四郎(現・二代目松本白鸚)、二代目中村吉右衛門(産経新聞)

 

 

■いちかわ・そめごろう 平成17年、東京生まれ。19年に初お目見え。21年に四代目松本金太郎を名乗り、初舞台。30年に八代目市川染五郎を襲名。NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」や映画「レジェンド&バタフライ」などにも出演。

 

筆者:水沼啓子(産経新聞文化部編集委員)

 

この記事の英文記事を読む

Advertisement

 

 

Continue Reading
Click to comment

You must be logged in to post a comment Login

Leave a Reply

Our Partners