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【主張】原子力発電 脱炭素活用が国際潮流だ 柏崎刈羽の稼働を確実に

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新潟県の東京電力柏崎刈羽原発の6号機(右)と7号機=2021年4月(共同)

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東京電力柏崎刈羽原子力発電所6、7号機(新潟県)の再稼働が現実味を帯びてきた。

 

原子力規制委員会が同発電所に出していた事実上の運転禁止命令が昨年12月末、同委によって2年8カ月ぶりに解除されたためである。

 

同原発も北陸電力志賀原子力発電所(石川県)も能登半島地震による重要施設への被害はなかった。夏以降には中国電力の島根原子力発電所2号機、東北電力の女川原子力発電所2号機の再稼働が見込まれている。

 

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いずれも福島第1原子力発電所と同じ沸騰水型原発である点が注目される。今年を国内原発復興加速の起点としたい。

 

記者会見で柏崎刈羽原発の運転停止命令の解除を発表する原子力規制委の山中伸介委員長(奥)=22023年12月27日午後、東京都港区(共同)

 

日本の歩みは遅すぎる

 

これまでの再稼働は全て加圧水型原発で東日本に多い沸騰水型原発の再稼働が待望されていた。柏崎刈羽6、7号機(ともに改良型沸騰水型、出力135・6万キロワット)が加われば国内の全原発33基中、16基による発電体制となる。加圧水型と沸騰水型がそろうことも好ましい。

 

地球温暖化防止で国連から要請される脱炭素化への対応や、エネルギー安全保障の観点からも世界的に原子力発電への評価が高まっている。

 

昨年末の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)でも原子力発電の利用拡大に向けた動きがあった。

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世界の原子力発電の設備容量3倍化を目指す有志国宣言だ。日英仏加など25カ国が署名している。成果文書にも原子力が二酸化炭素排出削減の有力手段の一つとして記載された。COP史上初の画期的な承認だ。

 

海外では福島事故後、慎重になっていた原発利用の動きが活発化している。スリーマイル島原発事故以来、原発の新設が途絶えていた米国で昨年7月に革新軽水炉の運転が始まったことも一例だ。

 

脱原発に傾いていたスウェーデンやベルギー、イタリアでも政策見直しが進んでいる。韓国も一昨年の新政権発足で脱原子力政策を撤回済みだ。安全性と効率性に優れた小型モジュール炉(SMR)の開発も米加英などで活発化している。

 

翻って日本はどうか。政府は昨年2月に「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」で、エネルギー安全保障と脱炭素に寄与する電源として原子力の「最大限活用」を明記したが、世界に比して歩みは緩慢だ。

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柏崎刈羽原発もその例である。6、7号機は平成29年に安全審査に合格しているが、再稼働に至っていない。再稼働済みの原発は高経年機を除いてほとんどが安全審査合格から1年半以内に営業運転に入っているのと際立った差を見せている。

 

両機の遅れは東電に原発を運転する「適格性」があることの証明を規制委が求めたことなどに端を発している。原発の安全審査基準に適格性の見極めは含まれないのに、規制委は勝手に精神論を持ち込んだのだ。

 

新潟県の東京電力柏崎刈羽原発=2021年4月(共同)

 

規制庁も「紛失」猛省を

 

東電が招いた遅れもある。令和3年に発覚した同原発の運転員のIDカード不正使用や侵入検知設備の故障などだ。

 

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規制委は同年4月にテロ対策の不備を理由に核燃料の移動禁止を命じ、それによって事実上の運転禁止となっていた。東電は2年8カ月に及ぶ是正努力が認められ、昨年12月27日に禁止解除の運びとなった次第だ。

 

規制委は電力会社に厳しいが身内には甘い。原子力規制庁の職員が検査官証や立入検査証などを紛失し、無携帯のまま原発などへの立ち入り検査をしていたのだ。3年10月の報告によると10人が計11枚を紛失していたのだから、どの口で東電を叱責できたのか。

 

また、行政手続法の無視も看過できない問題だ。同法での安全審査の標準処理期間は2年だが、守られた例は少数だ。10年を過ぎた原発もある。国会で問われているが、馬耳東風だ。遅れを電力会社のせいのみにすることなく、規制委も規制庁も自身への自律的改善の仕組みの定着を急ぐべきだ。

 

今後、同原発の再稼働は地元同意に移る。新潟県の花角英世知事には、再稼働で東電に1基当たり年額1200億円の収益改善効果が見込まれることを判断材料に加えてもらいたい。再稼働が進めば福島第1原発の廃炉も進む。ひいては国内電力の安定供給にも資する。

 

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海外も世界有数の原発として知られる柏崎刈羽の運用再開に注目しているはずだ。

 

 

2024年1月18日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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