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【主張】H3ロケット 安全保障にも資する礎に

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模擬衛星と2機の超小型衛星を載せ、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられるH3ロケット2号機=2月17日午前(共同通信社ヘリから)

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日本の宇宙開発の中核を担う次期主力ロケット「H3」が、ようやく打ち上げ成功にこぎつけた。

 

「物凄(すご)い肩の荷がおりた。でもH3はこれからが勝負」

 

2月17日に種子島宇宙センター(鹿児島県)を飛び立った「H3」2号機の成功を受け、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の責任者は、こう語った。

 

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昨年3月にH3初号機の打ち上げに失敗し、現在の主力ロケット「H2A」は引退まで残り2機となっていた。

 

主力ロケットの空白という最悪の事態は、ひとまず避けられた。初号機の失敗から1年足らずで雪辱を果たしたJAXAと三菱重工業の取り組みは高く評価したい。

 

H3ロケット2号機打ち上げ後に行われた記者会見を終え、笑顔で握手を交わすJAXAの岡田匡史プロジェクトマネージャ(右)、三菱重工の新津真行プロジェクトマネージャー=2月17日午後、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センター(恵守乾撮影)

 

ただし、H3はスタートラインでつまずいたランナーが立ち上がった状況にある。拡大が見込まれる宇宙ビジネス分野で国際競争に参入するには、これを礎に3号機以降で成功を積み重ねることが必須である。

 

H3は衛星打ち上げ市場への参入に向け、低コストと使いやすさを追求して開発された。1回の打ち上げ費用はH2Aの約100億円から約50億円への半減を目指す。しかし、信頼と実績を伴わなければ、コストや使い勝手は評価されない。

 

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信頼回復のために、この1年に取り組んだ失敗原因の究明、安全評価体制の見直し、強化を継続することが重要だ。

 

H3初号機は第2段エンジンに着火せず指令破壊されたが、原因は特定できていない。2号機では考えられる3つのシナリオすべてを解決できる対策が施された。第2段エンジンの着火装置は、高い成功率を誇るH2Aから使われてきた。失敗原因を特定し、成功の陰に隠れたリスクを徹底的に洗い出すことで基幹ロケットとしての信頼性を高めたい。

 

H3ロケット2号機のポスターの前で、報道陣の求めに応じてサムアップするJAXAの岡田匡史プロジェクトマネージャ=2月17日午後、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センター(恵守乾撮影)

 

H3は当初、令和2年度に初号機打ち上げを目指した。開発の難航と初号機の失敗で大きく出遅れた間に、米スペースXが衛星打ち上げの市場で独走態勢を築いた。一方で、国際情勢は軍事、経済における安全保障の観点から国の基幹ロケットの重要性が高まっている。

 

官民を問わず安全保障への貢献が、H3が果たすべき最も重要な使命である。そのうえで、宇宙ビジネスでの市場開拓の戦略を新たに描く必要がある。

 

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2024年2月20日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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