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ウクライナ戦略産業省のサク顧問、停戦論に反論 「日本も露の情報戦にさらされている」

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取材に応じるウクライナ戦略産業省のユーリ・サク顧問=2月18日、東京都千代田区(岡田美月撮影)

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ウクライナ戦略産業省のユーリ・サク顧問は2月22日までに産経新聞のインタビューに応じ、国際社会の一部でみられるウクライナ戦争の停戦論に対し、「ウクライナが戦うのを止めればウクライナが終わる」と反論した。ロシアが仕掛ける情報戦に対し、日本、ウクライナ両政府が協力を強化したい考えも示した。サク氏の発言は以下の通り。

 

 

ロシアによるウクライナ侵略から24日で2年となる。これまでロシアはウクライナに対し、武力戦争と情報戦の両面で攻撃を仕掛けてきた。情報戦を通じたロシア側の狙いは、国際社会がこの戦争に目をつぶり、ウクライナのパートナー国にウクライナの勝利を諦めさせ、軍事・財政上の支援を打ち切らせることだ。

 

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ウクライナをおとしめるためのロシアのプロパガンダ(政治宣伝)やナラティブ(言説)、偽情報に対しては、事実に基づく情報や行動によってそれらが誤りだと証明することが最善策だ。

 

ロシアは「ウクライナが勝つことは決してない」と国際社会に信じさせようとしてきた。開戦当初、世界はロシアのナラティブを信じ、ウクライナが1週間足らずで陥落すると確信していた。

 

ところが、ウクライナは自国の主権と独立を守るため、軍隊や国民が総力を挙げて1日、1週間と持ちこたえ、ロシアのナラティブが間違いだと証明した。

 

この様子を見た米欧のパートナー国は「ウクライナは崩壊などしていない。ウクライナ国民は諦めず、法の支配などの共通の利益を守るために戦っている」と認識した。ウクライナが武器支援を受け入れ始めたのはそんなときだった。

 

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この血みどろの戦いを止め、即座に停戦すべきだという人がいる。われわれもできることなら戦争は止めたい。しかし、ロシアの軍事侵略にあらがうことはウクライナにとって生き残りをかけた戦いだ。ロシアはウクライナが国家として存続する権利を否定している。ロシアが侵略を止めれば戦争は終わるが、ウクライナが戦うのを止めればウクライナが終わる。

 

この侵略戦争を終わらせる方法は、ロシアが露軍をウクライナ領土から撤退させ、ウクライナに補償を支払い、誘拐した約2万人のウクライナ人の子供たちを返し、2014年に一方的に併合したクリミア半島を返還することだ。

 

グローバル・サウスと呼ばれる新興国・途上国の中には、歴史的にロシアの影響力が強い地域がある。アフリカ大陸では「西側諸国はかつてアフリカを植民地支配し、ソ連(現ロシア)がアフリカの独立を支援した」「帝国主義の西側諸国は次はウクライナを植民地化しようとしている」とのナラティブを流布している。ウクライナは大使館機能の強化などを通じ、「ロシアこそがウクライナの独立を否定し、植民地としようとしている」と訴え、ロシアの主張の打ち消しを図っている。

 

最近、ロイター通信が「ロシアが昨年、米国に非公式に停戦を打診したが、米国はウクライナ抜きでの停戦協議には応じられず拒否した」などと伝えた。この報道に関し、米欧メディアから「ホワイトハウスはウクライナに対しどう対処すべきだと助言しているか」などと質問を受けた。私は「ウクライナは主権国家だ。自国のことは自国で決めなければいけない」と答えた。

 

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全面侵攻の開始当初から、ウクライナは日本や米国、欧州のパートナー国に対し、ウクライナが交渉に参加しない場で、何かが決まることがあってはならないと伝えている。各国ともその考えに同意してくれている。

 

ロシアが仕掛ける情報戦のリスクには、日本もさらされていると理解している。日本はウクライナの強力な支援国だ。ウクライナと日本は、情報戦対策でも協力を強化することができると思う。」

 

筆者:岡田美月(産経新聞)

 

 

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■ユーリ・サク
1977年生まれ。英オックスフォード大で博士号取得。企業や官公庁向けの危機管理コンサルタントを経て、2022年3月、ウクライナ国防省で対外発信を担当する顧問に就任。米国や欧州、中東、日本などのメディアの取材に応じ、ウクライナの立場を発信してきた。23年12月から現職。

 

インタビューの詳細を英文記事で読む
(Part1) Ukraine Advisor Says 'Russian Propaganda Aims for the World to Abandon Ukraine'
(Part2) Ukraine Advisor: 'If Russia Stops the Aggression, the War Will End'

 

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