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【主張】中国全人代閉幕 毛沢東時代の再来危ぶむ

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中国全人代に臨む習近平国家主席(左)と李強首相=北京の人民大会堂(共同)

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中国の全国人民代表大会(全人代)が閉幕した。国務院(政府)に対する中国共産党の優位性を定めた法改正があり、首相の地位は名実ともに低下した。習近平総書記(国家主席)による独裁体制を強化するものだ。

 

さらに今回、習指導部は、党があらゆる面での統制を強める国家安全を経済よりも優先する姿勢を鮮明にした。

 

中国には、毛沢東の個人独裁が国内の経済や社会に壊滅的な打撃を与えた歴史がある。国際社会は習氏の政策への警戒を一段と強めなければならない。

 

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全人代で国務院組織法が制定から約40年ぶりに改正され、政府に対する党の指導が明確化された。毛沢東による大躍進政策などの失敗を繰り返さないため鄧小平が打ち出した「党政分離」を否定したことになる。

 

また、情報公開の一環として30年以上続けてきた首相の記者会見も中止された。いずれも1980年代以降、経済優先で改革開放を推進した鄧小平時代との決別を象徴するものだ。

 

中国全人代で活動報告を終え、席に戻る趙楽際・全人代常務委員長。右は習近平国家主席=3月8日、北京の人民大会堂(共同)

 

代わりに習氏が重視しているのが国家安全の強化である。趙楽際・全人代常務委員長は「反スパイ法の改正によって、スパイの浸透や転覆活動、機密の窃取と闘う法的な手段が豊かになった」と過去1年の成果を強調し、国家安全関連の法整備をさらに進めていくと明言した。

 

最高人民検察院(最高検)の応勇検察長も、今後の方針として「国家の安全と社会の安定を断固として守る。国家の安全に危害を及ぼす犯罪は法に基づき厳罰に処す」と強調した。

 

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中国全人代の会議を終えて引き揚げる習近平国家主席(右手前)に笑顔を見せる最高人民検察院の応勇検察長(左)と最高人民法院の張軍院長=3月8日、北京の人民大会堂(共同)

 

経済悪化に伴う社会不安の高まりや、中国に注がれる国際社会の厳しい目が共産党政権を揺るがすことへの習氏の危機感があるのだろう。政権基盤が盤石ではないことの裏返しだ。

 

昨年7月施行の改正反スパイ法の規定があいまいで、恣意(しい)的な運用への警戒感が諸外国の対中投資を冷え込ませる一因となっていることなどお構いなしである。経済の立て直しよりも自らの支配体制護持に躍起になっている姿しかうかがえない。

 

国際社会は、習氏が強引に推し進める新たな毛沢東時代の到来に備える必要がある。企業は対中投資の危険性がさらに高まっていることを認識しなければならない。日本を含む各国政府は連携し、中国の強権体制に対峙(たいじ)し続けるべきである。

 

 

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2024年3月15日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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