日米でAI研究150億円支援、高校生向け奨学金も エマニュエル駐日米大使インタビュー
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エマニュエル駐日米大使は4月2日、岸田文雄首相が国賓待遇で米国を公式訪問するのを前にJAPAN Forwardと産経新聞のインタビューに応じた。エマニュエル氏は10日に予定されている岸田首相とバイデン大統領の首脳会談に合わせて、人工知能(AI)研究を行う日米の4大学に対し、日米企業が計1億ドル(約150億円)を拠出することについて発表する見通しを明らかにした。日米の高校生向けの奨学金を創設する方向でも調整に入っていると説明した。
AI研究支援に関しては、日米の各2大学を対象に行う。日米間ではこれまで、量子コンピューターや半導体の分野で研究支援のパートナーシップを立ち上げており、今回はさらにAIに分野を広げる形だ。エマニュエル氏によると、日本の企業が同種のパートナーシップに参加するのは今回が初めてだという。
AIや量子コンピューターなどの先端技術分野では中国が急激に追い上げを強めている。今回の研究支援は日米連携を強化して技術優位を確保するのが狙いとみられる。
一方、高校生向け奨学金は、日系人として初めて米閣僚を務めた故ノーマン・ミネタ元運輸長官の名前を冠することになるとエマニュエル氏は説明した。日米の企業などが1000万ドル(約15億円)以上を拠出し、日米の高校生がそれぞれの相手国に1年間留学するのを支援する。日米計300人程度を対象とする。
ミネタ氏は下院議員、商務長官、運輸長官を務めた日系2世。1988年に日系人の強制収容を米政府が過ちと認めて謝罪・補償した「市民の自由法」の成立に下院議員として尽力した。日米両政府はミネタ氏にちなんだ奨学金の立ち上げを通じ、両国の人的交流を後押ししたい考えだ。
また、エマニュエル氏は、日米両政府が月探査を含む複数の計画で宇宙航空研究開発機構(JAXA)と米航空宇宙局(NASA)の連携を確認する方針にも言及。米主導の国際月探査「アルテミス計画」で、日本人宇宙飛行士2人を月面着陸させるなど宇宙分野での協力で一致するとみられる。エマニュエル氏は「JAXAとNASAは月探査分野の協力で大きな前進を遂げるだろう」と語った。
筆者:岡田美月(産経新聞)
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