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【主張】国産旅客機の開発 失敗教訓に新事業育成を

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愛知県営名古屋空港を離陸した三菱航空機が開発する国産初の小型ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」。約1時間半の初飛行に成功した =2015年11月11日、愛知県豊山町(本社ヘリから、竹川禎一郎撮影)

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経済産業省が次世代の国産旅客機の開発を目指す新たな産業戦略を策定した。

 

令和17年以降をターゲットに、航空産業の脱炭素化に向け水素エンジンなど水素や電気などを動力にする旅客機を開発する。約10年間にわたり官民合わせて5兆円程度を投資することを想定している。

 

国産初のジェット旅客機「スペースジェット(旧MRJ)」の開発を進めていた三菱重工業は、昨年2月に事業からの撤退を決めた。それまでに蓄積した知見や技術は多いとされ、次世代旅客機の開発に生かす。こうした国の戦略は妥当だ。

 

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航空機は部品点数が300万点といわれ、関連産業の裾野も広い。国内に航空機産業の強靱(きょうじん)なサプライチェーン(供給網)を築ければ、戦闘機など防衛産業の強化にもつながり、安全保障上も大きな意味を持つ。新たな成長産業に育てたい。

 

経産省は月内にも戦略実現に向けたロードマップを作成する。実行にあたってはスペースジェットの教訓を生かさなければならない。

 

三菱航空機が公開した国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」の飛行試験用機体=2014年10月18日午後、愛知県豊山町(甘利慈撮影)

 

スペースジェットは商用運航に必要な「型式証明」を取得できずに設計変更を重ねた。事業費は1兆円規模に膨らみ、政府も500億円を支援したが撤退に追い込まれた。

 

新戦略では、失敗の要因として安全認証プロセスへの理解不足や対象市場の縮小、政府の支援不足などを挙げ、そうしたことが複合的に作用したと総括した。自前の技術を過信し、海外の先進技術を取り込むことに慎重すぎたとの見方もある。

 

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このため、新戦略では海外メーカーとの連携で不足する技術や経験を補う。水素エンジンで先行する自動車メーカーなどとの連携も想定している。政府も国際規格づくりなどできめ細かくサポートし、官民一体で事業を推進するとした。

 

過去の半導体振興策など、政府主導の産業プロジェクトは成功したものばかりではない。新戦略の実行にあたっては、その実現性について、改めて専門家らによる評価を受けることも必要になるだろう。

 

だが、日本企業の多くが世界市場で存在感を失う中で、稼ぐ力を高めるには新規事業への挑戦が欠かせない。関連企業は新戦略策定を好機ととらえ、事業化を目指してほしい。

 

 

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2024年4月7日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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