【主張】天皇陛下即位5年 重きお務めに感謝したい 伝統守り男系継承を確実に
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天皇陛下が即位されてから5年を迎えた。
天皇は、憲法第1条で「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」と定める日本の立憲君主の立場である。
国と国民の安寧を祈り、さまざまなお務めに励まれてきた陛下に深く感謝申し上げたい。
天皇陛下をお支えする皇后陛下や秋篠宮皇嗣殿下をはじめとする皇族方にも心から敬意を表したい。平成の御代(みよ)で大切なお務めを果たした上皇、上皇后両陛下は東京・赤坂御用地で静かに過ごされている。ますますお健やかにと祈りたい。
即位の礼で虹がかかる
雨が上がり、東京の空に虹がかかった令和元年の「即位礼正殿の儀」や晴天の下の祝賀パレード、天皇にとって最も重要な祭儀といわれる「大嘗祭(だいじょうさい)」はとどこおりなく執り行われ、国民はこぞってお祝いした。
多難な5年間でもあった。令和2年の春以降、世界を襲った新型コロナウイルス禍で皇室のご活動は大幅に制限された。その中で天皇陛下は皇后陛下とご一緒に、できる限り国民に寄り添おうとされた。
感染拡大防止のためお出ましが難しくても、オンラインを活用し、国民文化祭など重要な行事に参加された。災害被災地や福祉施設などの関係者らとの交流にも努められた。
天皇陛下は4年2月、62歳のお誕生日を前にした記者会見で「全国各地をオンラインで訪問することにより、現地の方々のお話を伺い、交流することができたことは私たちにとって意義深く有り難いことでした」と語られている。
4年秋には行幸啓を再開し、国民と直接触れ合う機会を積極的につくられている。同年10月には即位後初めて沖縄県を訪れ美(ちゅ)ら島(しま)おきなわ文化祭に出席された。糸満市の国立沖縄戦没者墓苑で拝礼し、沖縄戦の遺族らに親しく声をかけられた。
両陛下は、今年初めに起きた能登半島地震でも被災者の身を深く案じ、現地の態勢が整うや否や、3月と4月に被災地を訪問された。
国際親善で果たされる役割も極めて大きい。天皇陛下は3年7月には東京五輪の名誉総裁として開会を宣言された。4年9月、ロンドンで執り行われたエリザベス英女王の国葬に参列された。5年6月にはインドネシアを国賓として訪問された。
日常の公務も多忙でいらっしゃる。昨年1年間に署名、押印された政府関連の書類は895件に上った。各界の識者や外国要人らとのご会見や茶会、晩餐(ばんさん)などの行事も昨年は皇居で240件も行われた。
極めてありがたいのは、陛下が熱心に宮中の祭祀(さいし)を斎行されていることだ。
国家の安寧と国民の幸せを祈る祭祀を歴代の天皇はおろそかにしなかった。昭和天皇と上皇陛下もそうである。天皇陛下は昭和天皇、上皇陛下のお心をしっかりと受け継がれている。宮中祭祀には新嘗祭(にいなめさい)や春季・秋季皇霊祭など天皇自ら斎行される大祭が年間約10件ある。そのどれもに全身全霊で取り組まれている。
「宮中の祭祀」を全霊で
天皇の祈りと、それに対する国民の感謝は、皇室を軸とする国民の結束につながる。それが日本の美風、国柄といえる。歴代の天皇と国民が守ってきたこの国柄を、私たちの世代も守っていきたい。それには、皇位継承の正統性を保っていくことが極めて大切だ。
日本は世界で最も古くから続く国である。それは歴代の天皇が同じ原則を守って即位してきたから成し遂げられた。初代の神武天皇から第126代の天皇陛下まで継承の経緯が全て伝わっている。そこから分かる最重要原則は男系(父系)継承で一度の例外も存在しない。
すでに天皇陛下は、ご自身の国事行為を含む「立皇嗣の礼」で、次の天皇は秋篠宮皇嗣殿下であると内外に宣明された。秋篠宮皇嗣殿下、悠仁(ひさひと)親王殿下へと継承の正統の流れは改めて明確になっている。
ただし、天皇陛下、秋篠宮皇嗣殿下の次の世代の継承権者は悠仁親王殿下しかおられない。そこで政府は悠仁親王殿下ご即位時に、お支えする皇族を確保する方策を国会に報告し、各党の意見が出そろった。継承権者を増やすことにつながる旧皇族男子の皇籍復帰案も大多数が賛同している。今国会中に立法府の総意を確実にまとめ、制度改正に進んでもらいたい。
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2024年5月1日付産経新聞【主張】を転載しています
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