【主張】中国大使の暴言 日本国民への脅迫許すな
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日本国と日本国民に対する、軍事力を振りかざした脅迫であり到底容認できない。
中国の呉江浩駐日大使が台湾を巡り、日本が「中国の分裂」に加担すれば「日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」と語った。呉氏は昨年4月、着任直後の会見でも同様の発言をして日本政府から抗議されている。
今回の異常な発言は、頼清徳台湾総統の就任式があった5月20日、都内の中国大使館で開かれた座談会で飛び出した。呉氏は「(中国は)最大の努力を尽くして(台湾との)平和統一を目指す一方、武力行使の放棄も絶対確約しない」と述べた。その上で、「火の中」の言葉を用いて日本国民を脅迫した。
どのような前提条件を付けても、中国軍が日本国民を攻撃して殺傷すると脅した発言で外交官失格である。呉氏は「武力又は武力による威嚇に訴えない」ことを確認した日中平和友好条約第1条にも反している。
このような大使が日本と正常な外交を営めるのか。呉氏は発言を撤回して謝罪し、職を辞したらどうか。もし同様の脅迫が中国駐在の外国大使から発せられたら、中国は国を挙げて非難し国外追放へ動くだろう。
発言を知った日本国民は眉をひそめている。元国家公安委員長の松原仁衆院議員(無所属)は外交上の「ペルソナ・ノン・グラータ」(好ましからざる人物)として呉氏を追放すべきだと昨年に続き政府に促した。
林芳正官房長官は会見で「極めて不適切だ」と呉氏の発言を非難し、外交ルートを通じ抗議したと明らかにしたが不十分だ。呉氏を呼んで直接抗議し、発言撤回と謝罪を求めるべきだ。中国側の反応次第では、駐日大使交代の要求や呉氏の国外追放措置も必要である。
岸田文雄首相は韓国で日中韓首脳会談に臨んだ。少なくとも呉氏の発言撤回がなければ、李強首相との2者会談をしている場合ではなかった。
座談会には鳩山由紀夫元首相や社民党の福島瑞穂党首、外務省OBらが出席したが、呉氏の暴言に誰も抗議しなかったのは情けない限りだ。鳩山氏にいたっては「呉大使のお話に基本的に同意する」と述べた。出席者は日本国民よりも中国政府の機嫌をうかがう卑屈な姿勢をとった自身を恥じてもらいたい。
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2024年5月24日付産経新聞【主張】を、一部情報を更新して転載しています
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