【主張】日韓防衛交流再開 台湾有事と北への備えだ
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木原稔防衛相がアジア安全保障会議出席のため訪問したシンガポールで韓国の申源湜国防相と会談し、2018年の韓国海軍による海上自衛隊機への火器管制レーダー照射問題を巡り、再発防止策で合意した。
ただし韓国側は照射を認めず、事実解明は棚上げされた。合意を受け木原、申両氏は防衛交流の再開で一致した。日米韓、日韓豪の防衛相会談でも安保協力推進が決まった。
日本および地域、世界の平和と安定を守るため、いずれの安保協力も欠かせない。
レーダー照射問題で、韓国側が危険極まりない照射を行った過ちを認めず、謝罪もしなかった点は大いに不満だ。日本国民や自衛隊には韓国側への不信が残るだろう。韓国の理不尽な主張に目をつむる対韓「甘やかし外交」の繰り返しでもある。
再発防止策について木原氏は記者会見で「海自の安全は守られる」と語った。申氏は韓国記者団に「韓国艦艇の安全が確保された」と述べた。
呉越同舟であっても日本側が再発防止策と防衛交流再開を選んだのは、それだけ深刻な安保情勢を反映していると知るべきだ。北朝鮮が進める核・ミサイル戦力の強化と、中国による台湾侵攻(台湾有事)の恐れという2つの危機である。
問題を棚上げしてでも防衛関係を強化しなければ、日本は不利な立場に陥りかねない。台湾有事の際、韓国が北朝鮮の暴発を抑止したり、対処したりしなければ南西諸島、台湾方面で中国の圧迫をはねのけにくくなる。韓国も同様で、朝鮮半島有事の際は米軍基地、国連軍指定基地を抱える日本の協力が絶対に欠かせない。
日米韓防衛相会談が北朝鮮問題に加え、「台湾海峡の平和と安定」の重要性を確認し、日韓、日韓豪の会談が「地域の安全保障上の課題」などへの対応を話し合ったのは、対中抑止が喫緊の課題であるためだ。
ただし、韓国は反日感情が強く、政権交代で対日政策は大幅に変わってきた。現在の尹錫悦政権は比較的現実的な安保観を持っており、協力を進める余地がある。だが、その尹政権でさえ自国海軍のレーダー照射を認めない。左派野党が再び韓国で政権を握れば防衛協力が吹き飛ぶことも想定しつつ、付き合うしかない隣国である。
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2024年6月4日付産経新聞【主張】を転載しています
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