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【主張】中国の台湾人拘束 自由阻む脅しは許されぬ

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台湾の離島、金門島周辺を航行する中国軍補給船=5月29日(台湾海巡署提供・共同)

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台湾独立の動きを違法とする中国の反国家分裂法などに違反したとして、台湾人が中国当局に拘束される事態が相次いでいる。台湾当局によると、この数年で少なくとも15人が拘束されたという。

 

反スパイ法違反容疑で邦人が拘束されている日本政府も人ごとではない。台湾が実効支配する金門島の沖合では、台湾の漁船が中国海警局の船に拿捕(だほ)され、乗組員が拘束された。中国による法律の恣意(しい)的運用や不当な拘束を断じて許してはならない。

 

記者会見する中国国務院台湾事務弁公室の陳斌華報道官=6月12日、北京(新華社=共同)

 

反国家分裂法は2005年、台湾独立派による国家分裂行為に反対し、これを阻止することなどを目的に制定された。中国政府は今年6月下旬、台湾独立派に最高刑として死刑を適用する処罰指針を公表している。

 

台湾当局者は、台湾独立派の定義が曖昧で「台湾人のほとんどが含まれることになる」と指摘した。

 

今後、台湾人を標的とした法律の恣意的運用が増え続けるのではないか。中国に滞在する台湾人ビジネスマンとその家族は100万人以上とされる。「次は自分が拘束されるのではないか」との不安が広がるのは避けられない。

 

台湾の総統選で、支持者の前で勝利宣言をする民主進歩党の頼清徳氏。右は副総統候補の蕭美琴氏=1月13日午後、台北(松本健吾撮影)

 

中国政府の狙いもそこにあるはずだ。中国が台湾独立派とみなす頼清徳総統が5月20日に政権を発足させたことを受け、不安をあおる「認知戦」の一環である。反中的な言動への抑止効果も期待しているのだろう。

 

中国と犯罪人引き渡し条約を結んでいたり、中国が「海外警察拠点」を設置したりしている第三国でも、台湾人が政治的理由で拘束される可能性は否定できない。

 

任期を終えた台湾の蔡英文総統が、頼清徳総統就任式に出席した各国代表団を招いて晩餐会を主催した。左は古屋圭司衆議院議員と安倍昭恵氏を含む日本代表団(台湾総統府提供)

 

狙われるのは台湾人だけではない。台湾当局者によると、台湾の国際的地位の向上や防衛力強化を支持する外国人も、中国当局に拘束されるリスクがあるとされる。中国の嫌がらせによって国際社会で不当な扱いを受ける台湾への支援や、中国の軍事圧力を受ける台湾防衛のための援助を惜しまない日米などの国民が対象となり得るのだ。

 

すでに中国ではスパイ容疑での邦人拘束が相次いでおり、14年の反スパイ法施行後、少なくとも17人が拘束された。

 

日本が民主主義陣営の一員として台湾を支えるのは当然だ。台湾と協力し、自由を阻む中国の脅しに屈してはならない。

 

 

2024年5月29日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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