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【主張】東海道新幹線不通 リニアで大動脈の補強を

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東海道新幹線豊橋―三河安城間で保守用車同士が衝突し脱線した現場=7月22日午前、愛知県蒲郡市(共同通信社ヘリから)

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東海道新幹線は7月22日、愛知県蒲郡市の線路上で保守用車同士が衝突し、浜松―名古屋間で終日運休した。同新幹線は、上下328本が運休し、約25万人が影響を受けた。

 

東京駅などでは、日本語でのアナウンスがわからず、外国人観光客が困惑している姿も多く見られた。

 

今回の事故で、JR東海は、2つの大きなミスを犯した。1つ目は、言うまでもなく保守用車の問題である。

 

東海道新幹線の一部区間運転見合わせの影響で混雑する新大阪駅の切符売り場=7月22日午後、大阪市淀川区(弓場珠希撮影)

 

保守用車同士の衝突事故は、平成22年に山陽新幹線でも起き、同新幹線は半日ストップしたが、これほどまでの影響を与えたのは初めてだ。

 

JR東海は会見で、事故の原因は、何らかの理由でブレーキがきかなかったためと明らかにした。車両そのものの欠陥か、始業前の車両点検が不十分だったかの可能性が高く、一刻も早い原因究明が求められる。

 

東海道新幹線の保守用車同士が衝突し脱線したことを受け、記者会見で謝罪するJR東海の担当者ら=7月22日午後、東京都千代田区(共同)

 

もう1つは、事故発生後の対応である。衝突は22日未明で、朝早くから東京駅などは、乗客でごったがえした。

 

その際、復旧の見込みを「昼過ぎ以降」と知らせてしまったため、午前中に発車する予定だった新幹線の指定席を、午後出発便に振り替える乗客も多かった。結局、午後便も運休になったため混乱に拍車をかけた。

 

東海道新幹線豊橋―三河安城間で脱線した保守用車=7月22日午前、愛知県蒲郡市(共同)

 

危機管理の鉄則だが、根拠のない楽観的な見通しは、厳に慎まなければならない。

 

在来線に振り替え客が殺到した浜松駅や豊橋駅も大混乱した。新幹線が運休した浜松―名古屋間のうち、浜松―豊橋間は、代替となる公共輸送機関がJR東海道線しかなく、しかも連結車両が少ないため、駅への入場制限をせざるを得なかったためだ。

 

走行試験を続けるリニア中央新幹線の試験車=2020年9月29日、山梨県笛吹市(渡辺浩撮影)

 

今回の事故で露(あら)わになったのは、東海道新幹線に頼り切った東京―中京・関西間の旅客輸送の脆弱(ぜいじゃく)さだ。高速バスの増便も航空輸送も限りがあり、北陸新幹線も敦賀まで開通したとはいえ、大阪までの延伸はめどすら立っていない。

 

品川―名古屋間を約40分で結ぶリニア中央新幹線は、静岡県が南アルプストンネルの着工を認めてこなかったことで、開業予定が令和16年以降にずれ込んでいる。

 

大動脈の東海道新幹線を補強するためにも、リニア新幹線の早期開通を望みたい。

 

 

2024年7月24日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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