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元銀座ママが奈良の神社宮司に 波乱万丈半生経て「地域にぎやかに」

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駒形大重神社の宮司に就任した村山陽子さん(左)。右の3人は奉告祭で舞を奉納する女性たち=6月30日、奈良県御所市(岩口利一撮影)

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神話で彩られた奈良県御所市の葛城山麓に鎮座する駒形大重(こまがたおおしげ)神社の宮司に東京都港区の村山陽子さん(59)が就任し、7月14日に祭神に就任を伝える奉告祭が行われた。ドバイで起業した後に一昨年まで東京・銀座のクラブでオーナーママを務めたという異色の経歴の持ち主。「今後は神様にご奉仕し、祭りなどを通じ地域をにぎやかにしたい」と意気込む。

 

長野県松本市に生まれたが、各地を転々としながら波乱に富んだ半生を送ってきた。

 

小学生のときに父親が亡くなり、一家で母の姉を頼って奈良県へ。まだ幼い弟妹を育てる母を助けるため、学校に通っているときからアルバイトを始め、一家が大阪市内に移り住んだ後は北新地のクラブに勤めるなどして家計を支えた。「自分が一家の大黒柱ということが心の支えであり、生きがいだった」と振り返る。

 

結婚した後、ドバイに渡って起業し中古車販売の会社を経営。慌ただしい生活のストレスからか鬱病に苦しむ時期も10年以上続いたが克服し、帰国後の平成27年、念願だった銀座でクラブを開いた。

 

宮司就任奉告祭で祝詞を奏上する村山陽子さん=7月14日、御所市の駒形大重神社(岩口利一撮影)

 

伊勢神宮に惹かれ

 

神道に惹(ひ)かれたのは、クラブを開く前の25年、伊勢神宮(三重県伊勢市)を参拝したことがきっかけだ。20年に1度社殿を建て替える式年遷宮(しきねんせんぐう)・遷御の儀があった直後で、清らかな社殿に造り替えられた境内に身を置くと「まさに神を感じる場所だと実感した」。

 

その後、最も古い由緒を持つ神宮の祭礼「神嘗(かんなめ)祭」を拝観する特別講習会に参加。太鼓の音がした後、森閑とした暗闇の中に松明(たいまつ)の燃える音と足音だけが聞こえた。「2千年の歴史と伝統が目の前で繰り広げられているようだった」。気がつけば涙がこぼれ、一気に心が神道へ傾いた。

 

銀座でクラブを開いてからは男性客が神社検定を受けることを知り、自らも挑戦。一念発起して国学院大学に入り、天皇が即位後に行う「大嘗(だいじょう)祭」を研究しながら神職の資格を取得した。

 

銀座のクラブでオーナーママを務めていた当時の村山陽子さん(本人提供)

 

コロナ禍で閉店

 

銀座のクラブは新型コロナウイルスの影響を受け、令和4年12月に閉店した。当時、すでに茨城県内の神社に神職として勤めており、「気持ちは神社に傾いていて、爽やかな気持ちだった。心残りはない」。

 

そして今年4月、駒形大重神社の宮司に就任。「葛城古道」の近くに位置する駒形大重神社は駒形神と平安時代の学者、滋野貞主命(しげののさだぬしのみこと)を祭り、地域の信仰を集める古社だ。先代宮司が高齢な上、他の神社と兼任の状態だったといい、就任を請われた。「何度か訪れると大和三山が見えるなど周辺からの眺望もよく、強く惹かれた」という。

 

子供時代を過ごした奈良に戻り、企業経営者やクラブママとは全く異なる世界へ挑戦する。「神様にご奉仕する機会を与えていただき、ありがたい。氏子、地域の方々が集う場にし、他の神社とも何か企画したい」と決意を新たにした。

 

筆者:岩口利一(産経新聞)

 

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