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100円ショップの「進化系」が人気

商品の価格帯が300円から1000円という、従来の「100円ショップ」よりちょっとだけ高級なダイソーの新業態店が人気だ。コロナ禍後の原材料高という逆風の中で成長する新業態店には「来店するワクワク感」がいっぱい詰まっている。

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Standard Productsの店舗(2024年7月30日都内で撮影。©️JAPAN Forward)

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ダイソーの新業態店

 

100円ショップ、「DAISO」を展開する大創産業(本社・広島)は、2021年に「Standard Products」、22年に「THREEPPY」という新業態店を始めた。両店舗の商品価格帯は300円から1000円(税抜き)、中心価格は300円と従来の「100円ショップ」よりちょっと高級だ。

 

商品は環境にやさしい素材を使用したり、デザイン性にも優れ、趣味趣向品力を強化していて、従来の低価格の生活用品とは差別化が図られている。大創産業は「何度行っても楽しい」「行くたびに新たな発見がある」という商品開発のスタンスで臨んでいる。特に「THREEPPY」は女性の顧客向けの商品が豊富だ。

 

国産の木材を使った商品(Standard Products、©️JAPAN Forward)

 

飽和感に包まれていた100円ショップの打開策

 

1990年代の「円高」の時代に急成長した日本の「100円ショップ」。当初は人件費や製造原価が安い中国での製造品を中心に急成長したが、2018年頃から業界に飽和感が漂うようになる。そこに2020年の世界的な新型コロナ感染症が世界景気を襲い、さらに22年のロシアのウクライナ侵攻で物流費やコスト高騰が「100円ショップ」に大逆風となり、営業利益率を押し下げる。「100円ショップ」には、日常使うアイデアを凝らした生活用品が多かったが、結果として品質や耐久性、デザイン性を犠牲にした商品が多かった。

 

そこに早くから差別化を図ったのが、衣料品・雑貨を扱うパル(本社・大阪)の「3COINS」だった。今から30年前に誕生した「3COINS」は商品価格が300円から(税込み)のため、「100円ショップ」より余裕のある商品開発ができた。

 

3COINSの店舗(©️JAPAN Forward)

 

低価格の小売店で競合より価格を上げるのは「挑戦」ではあるが、パルは衣料品で培ったデザイン性を活かして「小洒落た」商品開発で成長を遂げた。低価格帯商品のニーズに応えていたものの、「100円の商品」に限界を感じたキャンドゥ(本社・東京)も、約10年前から100円を超える価格の商品を店舗内に扱うようになる。同様に、セリア(本社・岐阜)も100円超の品揃えで攻めてきた。

 

THREEPPYの店舗(2024年7月30日都内で撮影。©️JAPAN Forward)

 

ダイソーの戦略

 

そこに新たな戦略を打ち出したのが大創産業だった。単なる100円超え商品の展開ではなく、「品質とも納得」の商品開発に努めているのだ。Standard Productsでは約7割の商品を300円(税抜き)に抑えながら、日本国内の地域産業ともコラボした刃物、化粧用品、リネン品、食器などを提供している。店内を丁寧に「探検」すると、「楽しく、ワクワクする発見」が体験できるのだ。

 

地域産業とコラボした化粧ブラシ(Standard Products、©️JAPAN Forward)

 

先行する「3COINS」「キャンドゥ」や「セリア」とは違う品揃えでの戦略だ。出店場所によっては、「DAISO」「Standard Products」と「THREEPPY」の3店舗を併設出店して顧客を取り込んでいるところもある。

 

2020年にはECサイトで「まとめ買い」もできるようにし、2023年12月にはファンサイト「DAISOの輪」を始めるなど創意工夫を凝らしている。

 

「100円ショップ」DAISOの店舗(写真提供:大創産業)

 

海外にも積極出店

 

大創産業は国内外に5325店舗(海外は25の国と地域に984店、2024年2月末)を展開している。特に米国には2030年までに1000店の出店目標を掲げている(23年12月末時点では121店)。2024年からは米国プロ野球メジャーリーグのロサンゼルス・ドジャースと複数年のスポンサーシップ契約も結んだ。

 

また、24年7月にはマレーシアに約12万㎡の大型自動倉庫の建設着工をし、27年春の稼働を予定している。国内だけでなく、グローバルで稼ぐことで為替要因を克服する体質を構築している。日本の「100円ショップ」は時代の変化に対応して進化を遂げているのだ。

 

筆者:海藤秀満(JAPAN Forwardマネージャー)

 

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