【主張】原爆の日 平和式典で厳粛な祈りを
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8月6日、広島は79回目の原爆の日を迎え、9日には長崎も原爆の日を迎えた。犠牲となった人々を悼み、平和への願いを胸に刻みたい。
パリでは平和の祭典である五輪が開催中だが、ロシアのウクライナ侵略は2年半に及び、イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスの戦闘もやむ気配はない。
プーチン露大統領は核恫喝(どうかつ)をためらわない。中国や北朝鮮は核・ミサイル戦力の強化に走っている。日本や世界は核の脅威にさらされている。
広島市の松井一実市長は平和宣言で、市民社会が行動を起こすことで紛争の原因となる「国家間の疑心暗鬼」を取り払い、平和文化を共有しようと呼び掛けた。
平和を希求することは大切である。だが、「ヒロシマ」は偏った「反核平和」運動の象徴ともされてきた。8月6日は、各種団体による平和記念公園内外での演説やデモ集会が常態化している。
昨年もヘルメットにマスク姿の活動家らが早朝から集結した。平和記念式典に出席した岸田文雄首相に対し「広島から出ていけ」「沖縄を戦場にするな」などとシュプレヒコールをあげた。静かに悼むことからかけ離れた行動は非常識で許されない。公園でのデモ参加者によって広島市の職員が転倒させられるなどし、過激派の中核派活動家の男5人が暴力行為等処罰法違反容疑で検挙された。
市は今年、安全対策強化のため公園の入場規制を行い、拡声器やプラカードなどの持ち込みを禁止した。6日午前5時には公園利用者に対して公園外への移動を求め、6時半から手荷物検査を受けて園内に入ってもらうという。
市の対応は当然だ。式典は、厳粛かつ静謐(せいひつ)に行われるべきだからだ。
被爆者健康手帳を持つ被爆者は、3月末時点で10万6825人と手帳交付が始まった昭和32年度以降、最少を更新した。平均年齢は85・58歳と高齢化が進んでいる。手帳所持者のうち、広島や長崎で直接被爆した人は6万3337人になった。
日本は、唯一の戦争被爆国として核の惨禍を語り継いでいく必要がある。同時に、再び日本が核攻撃されないよう、核抑止の態勢を強化することも重要な課題である。
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2024年8月6日付産経新聞【主張】を一部情報を更新して転載しています
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