【主張】北の派兵 侵略への加担は許されぬ
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ウクライナ侵略を続けるロシアと、これを支持してきた北朝鮮の軍事協力が一段と進んでいる。
米国のブリンケン国務長官は、ロシアに派遣された北朝鮮軍の将兵について「数日以内にウクライナ軍との戦闘に投入される」との見通しを示した。
最大8千人の北朝鮮軍が、ウクライナが一部を占領する露西部のクルスク州に展開しているという。北朝鮮軍の部隊がウクライナ領に侵入してくることも懸念されている。
これは北朝鮮が第二の侵略国になることを意味するもので断じて容認できない。
北朝鮮は直ちに派兵と武器弾薬の対露輸出を停止すべきだ。国際社会は危機感をもち、一層の圧力をかける必要がある。
日本の山崎和之国連大使が国連安全保障理事会の緊急会合で「北朝鮮がロシアによる侵略の共犯者になることはウクライナ情勢をさらに悪化させる」と非難したのは当然だ。
北朝鮮は10月31日、新型と称する大陸間弾道ミサイル(ICBM)を日本海に向けて発射した。日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下させた。通常よりも高角度のロフテッド軌道をとり、飛翔(ひしょう)時間も高度も過去最高だった。技術向上の裏にはロシアの協力があったとみられている。
露朝両国は6月、有事の際の相互軍事援助を盛り込んだ「包括的戦略パートナーシップ条約」を結んだ。軍事同盟下の提携は急速に進み、北朝鮮はロシアに砲弾や弾道ミサイルを供給した。60万人超とされるロシア兵の死傷者を補うため、軍の派遣にも踏み切った。
ロシアからの見返りが北朝鮮が切望していた高度な核・ミサイル技術の提供なのだろう。
北朝鮮の金正恩総書記は、朝鮮半島有事の際に、ロシア軍の加勢も望んでいると思われる。露朝軍事協力の脅威は、日米韓とウクライナを含む欧州に及ぶことになる。
日本にとっては、台湾有事など南西方面での有事に直面する場合でも、北朝鮮に加え北方におけるロシアの脅威にも備える必要が高まった。石破茂政権はこの厳しい現実を国民に説明すべきだ。
北朝鮮が通算7回目の核実験に踏み切るとの観測もある。一層の警戒が欠かせない。
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2024年11月2日付産経新聞【主張】を転載しています
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