【主張】福島県沖地震 「揺れへの備え」再確認を
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福島県沖で13日夜に発生した最大震度6強の地震は、福島、宮城両県を中心に広い範囲に被害を及ぼした。
気象庁によると、地震の規模はマグニチュード(M)7・3で、平成23年3月に発生した東日本大震災(M9・0)の余震とみられる。
しばらくは同程度の余震の恐れがある。降雨などによる二次災害にも警戒が必要だ。政府と自治体は緊密に連携し、「命を守る」ことを最優先に被災者を支援し、被災地の復旧に全力を挙げてもらいたい。
今回の地震では、倒れた家具や割れたガラスなどで負傷した人が多い。スーパーの商品棚や図書館の本棚、墓石などの散乱が激しかった。「東日本大震災と同じか、それ以上の揺れだった」と語る住民もいた。
家具や墓石くらいの大きさの物に強く作用する短い周期の揺れが強かったため、人が感じる揺れも強かったと考えられる。
身の回りの「揺れへの備え」を見直す契機としたい。家具を固定する。重い物は高い場所に置かない。窓ガラスの散乱を防ぐ。家の中の危険要因を一つ一つ最小化することが大事だ。もちろん、家屋全体の耐震化についても、再確認と徹底を忘れてはならない。
今回の地震では被害を伴う津波は発生しなかったが、海域を震源とする強い地震では、常に津波を想定し、必ず避難することが大事だ。「津波が来なくてよかった」で済ませず、安全に避難できたかどうか検証してほしい。地震の揺れから命を守り、けがをしないことが避難の前提になる。
交通やライフラインなど社会インフラの地震防災に、今回の福島県沖地震は重い課題を突き付けたといえる。
線路沿いの電柱損壊で新幹線が、のり面の土砂崩落などで高速道が不通となり、復旧には時間がかかる見込みだ。震源から離れた神奈川、埼玉県でも一時停電となった地域がある。
阪神、東日本の2度の大震災を契機に、国と事業者はインフラの耐震強化に重点的に取り組んできた。首都直下地震をはじめ、福島沖と同規模の地震は日本列島のどこでも起こり得る。
福島県沖地震で被害を防ぎきれなかった原因と、早期復旧のための課題を分析し、日本の地震防災と強靱(きょうじん)化に生かすべきだ。
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2021年2月16日付産経新聞【主張】を転載しています
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