【主張】ミャンマーの弾圧 国際社会が介入する時だ
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クーデターを起こしたミャンマー国軍は3月27日、首都ネピドーで国軍記念日の式典を開き、権力掌握を内外にアピールした。この日も各地で抗議デモがあり100人超が殺害された。国軍は「銃撃」を警告していた。
国軍の弾圧はすでに、抗議デモの封じ込めといったレベルを超えている。群衆への無差別攻撃であり、到底、容認できない。
23日には、7歳の少女が治安部隊に銃撃され死亡した。自宅に踏み込んだ兵士が、父親の膝の上に抱かれていた少女に発砲した。
隣国インドに逃れてきた警察官は本紙に、約400人の抗議の群衆に向け「撃て」と命じられたが、耐えられず、その場を立ち去ったと語った。
国連安全保障理事会は10日の議長声明で「平和的なデモ参加者への暴力」を非難し、国軍に「最大限の自制」を要求した。
全15理事国の同意に基づく議長声明はいわば、国際社会の総意である。あからさまな無視を看過するわけにはいかない。
国民は商店を閉め、職場にも行かない「静かなスト」を実施するなどして抵抗の意志を示している。抗議行動は収まらない。
半世紀もの国軍統治から民政へと移管したこの10年、国民は自由を身をもって経験した。国軍統治の復活への拒否は明らかだ。
大きな懸念はこうした国民の強い意志に、国軍が弾圧以外に応じる気配をみせないことだ。流血の拡大は許されない。恐怖による統治はもはや通用しないと分からせるべきだ。
経済、社会活動は停滞し始め、食料不足も伝えられる。事態の打開に向け、国際社会の介入は不可欠であり、その取り組みを具体化させなければならない。
日本はミャンマーの民主化や経済発展を支援し、防衛交流などを通じ、国軍ともパイプを持つ。インドネシアなど東南アジア諸国連合(ASEAN)の有志国と連携し、国軍を説得すべきだ。
議長声明が無視された形の安保理は、さらなる措置を検討しなければならない。弾圧を逃れ、国外に脱出する人も少なくない。ミャンマー一国ではなく、この地域の平和と安全にかかわる問題だと認識すべきだ。中国とロシアは国軍をかばうのでなく、安保理の常任理事国として責任ある態度を取ってもらいたい。
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2021年3月29日付産経新聞【主張】を転載しています
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