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宇宙ごみ回収に日本のベンチャー企業が相次ぎ名乗り 宇宙の環境問題を技術で解決

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ロケットの一部や運用を終えた人工衛星などが元になったスペースデブリ(宇宙ごみ)の除去に向けて、日本のベンチャー企業が相次いで立ち上がっている。スペースデブリは大きさ1センチ以上のものだけでも50万個以上あるとされるうえ、それぞれが秒速8キロで飛び交っている。仮に人工衛星に衝突すれば、気象観測やGPS(全地球測位システム)にも大きな影響を与える可能性もあり、「宇宙の環境問題」の解決を日本の技術がリードしている形だ。

 

平成25年設立のアストロスケール(東京都墨田区)は3月22日午後3時7分(日本時間)、世界初のスペースデブリ除去実証衛星「ELSA-d(エルサディー)」をカザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げた。

 

ELSA-d

 

この衛星は模擬デブリと捕獲機で構成。宇宙空間で分離させ、捕獲器で模擬デブリをきちんと回収できるかを検証する。さらに回転する模擬デブリの捕獲、離れた場所から模擬デブリを探索できるかも確認する。

 

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模擬デブリにはあらかじめ強磁性の「ドッキングプレート」が装着されており、磁石によって捕獲機とくっ付けて回収する。捕獲されたデブリは捕獲機と一緒にそのまま大気圏に突入して燃え尽きる。

 

実用化の際には、打ち上げられる衛星にあらかじめドッキングプレートを装着してもらう。これにより、デブリを効率的に取り除く。

 

アストロスケールの岡田光信最高経営責任者(CEO)は、「衛星が周回する軌道は、地上で車が走る高速道路のようなもの。故障した衛星の除去や燃料の補給など宇宙空間のロードサービスが求められている」と話す。

 

アストロスケール同様に、デブリ除去を目指す宇宙ベンチャー企業のひとつが、人工流れ星の開発に取り組むALE(エール、東京都港区)だ。平成31年1月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や神奈川工科大学などとともに、デブリ除去技術の開発に乗り出した。

 

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エールなどが開発したのは、人工衛星から導電性テザーと呼ばれる長い紐を宇宙空間で展開し、地球の磁場を使って衛星を軌道から外すことで大気圏に突入させ、焼却廃棄する仕組み。あらかじめ打ち上げられる人工衛星に積んでおき、運用終了の際に衛星から導電性テザーを垂らす。収納性にも優れ、小型化が進む衛星内部にも搭載しやすいのが特徴だ。令和3年度中の実証実験を目指す。

 

ALEはこのほか、中島田鉄工所(福岡県広川町)と東北大学が共同で開発した別のデブリ除去技術を採用。運用終了時に衛星の周囲に膜を展開させ、わずかに発生する大気の抵抗の力で衛星の軌道離脱を促す。こちらは令和元年12月に技術実証が完了。5年に世界で初めて放出予定の人工流れ星を積んだ衛星にも使われている。

 

一連のデブリ除去技術の開発を進めるため、ALEはこのほど、ベンチャーキャピタルなどから総額22億円の資金調達を実施した。

 

3月20日にカザフスタンから打ち上げられたロケットには、アストロスケールのデブリ除去衛星とともに、宇宙ベンチャーのアクセルスペース(東京都中央区)が福井県から開発を受託した小型衛星も積まれた。

 

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1957(昭和32)年、世界で初めて当時のソビエト連邦が打ち上げて以来、8千もの人工衛星が宇宙に送り込まれ、そのうちの約4400機以上が地球を周回している。ベンチャー企業を中心に小型衛星の打ち上げは増える一方で、過密状態だけでなく、故障した衛星との衝突なども増えている。

 

あらゆる可能性を秘めた宇宙の持続可能な利用が求められる中、日本発のデブリ除去技術が世界をリードする。

 

筆者:松村信仁(産経新聞)

 

 

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