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日本のラグビーが抱える課題と大目標への挑戦

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ラグビー日本代表は、11月20日にエディンバラでスコットランドに20—29で敗れて、秋のテストマッチシーズンを終えた。パンデミックの影響で2019年W杯日本大会以来の国内テストマッチとなった豪州戦から始まった秋のシリーズは通算1勝3敗。ダブリンではアイルランドに5-60と大敗を喫するなど、ポルトガル戦以外の勝利は飾れなかった。ブレイブ・ブロッサムズは、キックオフまで2年を切った23年W杯フランス大会で目標に掲げるベスト8突破には大きな宿題を残して、来年のW杯プレ・イヤーを迎えることになる。

 

メイド・イン・ジャパンの精巧なラグビーマシンは、2年の空白でこびりついた錆を落とす作業を進めている。欧州での初戦ではアイルランドに9トライを奪われたが、今季最終戦ではスコットランドに9点差の接戦を披露。19年のW杯日本大会では倒した2チームに敵地で敗れたが、エディンバラでは2年前のラグビーを垣間見せた。

 

前回W杯も指揮を執ったジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチは、最終戦後の会見で「選手たちは、日本のブランドを見せて相手に重圧をかけた。ミスで相手にチャンスを与えてしまったのは残念」と、苦闘の中でようやく2019年の輝きを取り戻す感触を掴んでいる。

 

新型コロナウィルスにはどのチームも苦しめられたが、昨年夏から南半球、欧州が続々と国内リーグ、代表戦を再開する中で、日本代表は沈黙を強いられた。19年W杯後にチームが合宿を再開したのは今年5月。6月のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦からテストマッチを再開したが、スコットランド戦までの国際試合の数は6試合に過ぎない。19年W杯で示したように、日本代表はフィジカルや個人技で上回る強豪国に、緻密に構築された組織プレーで対抗してきた。他国以上に時間をかけてチームを作り上げてきたことが成功の礎だったことを考えると、2年の沈黙が大きな足枷になったのは間違いない。ジョセフHCも「パンデミックの影響で試合も少なく、次回W杯へ日本代表の準備は遅れている。あと2年なので、この遅れを取り戻していきたい」と危機感を滲ませる。

 

The Brave Blossoms’ Tevita Tatafu, a 25-year-old forward, scores a try against Scotland. ⒸJRFU

 

日本の苦闘は、ゲームデータからも読み取れる。日本が強みとする攻撃面で1つの指針になるパス回数を見てみると、金星を挙げた19年W杯のアイルランド、スコットランド戦ではともに200回を超えていた。これは敗れた2チームの160回台を大きく上回っている。しかし、今秋の豪州戦でのパスは112回、アイルランド戦は118回と、それぞれ対戦相手をも下回る数字だった。

 

このデータには、今秋の日本代表が、ボールを左右に展開することよりも、ハイパントを使った戦術を選んだことも背景にある。キックを多用したぶん、パスが減少しているのだ。しかし、この戦術では、対戦相手が日本戦で最も警戒するスピードのあるオープン攻撃が減ることになり、同時に防御で相手の消耗も軽減されることにもなった。

 

スコットランド戦では、このキックを封印。2年前のようなパスとランを駆使して攻めるラグビーで、9点差の競り合いを演じてみせた。試合後にSO松田力也は「自分たちはキック中心の戦術も持っているが、今日はキックでボールを与えるより自分たちもボールを保持する攻撃を選んだ」と説明したが、W杯のプレ・イヤーとなる来季のテストマッチで、スコットランド戦のようなパスとランで攻めるのか、キックを使っていくかは、その完成度も含めて重要な選択肢になるだろう。

 

Japan veteran Kotaro Matsushima showcases his speed against Scotland. ⒸJRFU

 

苦戦の要因は、対戦相手の変化にもある。19年W杯での日本の躍進で、世界の強豪が日本代表を入念に分析するようになったのは、今秋の対戦でも明らかだ。日本を圧倒したアイルランドは、従来ならFW戦を挑んできたチームだ。しかし今回は、大きくボールを展開してフィジカルの強いFW勢のいないタッチラインに近い位置で日本防御を崩してきた。もう日本との試合を簡単なゲームと考えるチームも指導者もいない。来年以降も、日本は厳しいマークと分析の中での戦いを強いられるのは間違いない。

 

Japan’s Michael Leitch, one of the team’s veteran standouts, carries the ball against Scotland. @JRFU

 

次回W杯まで2年を切る中で、もう1つの課題が世代交代だ。ジョセフHCも今回の遠征で「前回W杯から選手の引退や高齢化がある中で、若い選手を探して育成することが大切」と指摘しているが、アイルランド、スコットランド戦の先発15人中11人が前回W杯メンバーだった。WTBシオサイイア・フィフィタ、ディラン・ライリーら新たな戦力がポテンシャルを見せた一方で、いまだに19年メンバーへの依存度が高いのが現実だ。パンデミックにより若手を起用する機会が減少したのも響いている。残された時間で、新しい力がどこまで選手層の厚みを作れるかも、目標に掲げるベスト8越えには大きなチャレンジになる。

 

筆者:吉田宏(ラグビー・ジャーナリスト)

 

 

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