Interview with Fishmonger YouTuber Asana Mori on Whale Part 1 001

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くじら総合サイト「くじらタウン」で、「とにかくクジラが好き」「クジラには一家言ある」など、無類のクジラLOVERや専門家にお話をうかがうインタビューコンテンツが遂にスタート。

 

第1回目にご登場いただくのは、クジラや魚などの海洋生物のおいしいさばきかたや食べ方を紹介するYouTubeチャンネル「魚屋の森さん」が大人気の森朝奈さん。同チャンネルでは、お父様が社長を務める魚屋「寿商店」の新鮮な食材の魅力を発信し続けています。2020年6月末現在、チャンネル登録者数は4.48万人。中でも高い視聴率を記録したのが、クジラを題材にした料理動画です。また、最近は地元・名古屋の番組だけでなく、全国ネットでも取り上げられることが多い朝奈さんに、クジラの魅力についてうかがいました。

 

 

 

魚屋の仕事に付加価値を持たせられるよう、大学卒業後は一度別の業界に就職

 

―大学卒業後しばらくは別の業界で働いていたとのことですが、寿商店で働くようになったのはいつからですか?

 

10年くらい前に名古屋に戻ってきて、寿商店で働き始めました。もともとここで働きたい想いがあったので、自分がここでできることを模索して究めるために、一度外の世界で学んできたんです。

 

 

「子どもが魚の骨を嫌がる」という話を聞くたび、「こんなにおいしいのに!」と悔しかった

 

―YouTubeチャンネルも立ち上げていらっしゃいますが、チャンネルを開設しよう思ったのはなぜですか?

 

魚って、よく知ってるようであまり知らないものがたくさんあるので、魚屋だからわかる正しい知識を発信していきたいと思ったんです。それと、ちょうどわたしの同世代は結婚・出産している友人が多いんですけど、『子どもが骨をめんどうがって魚をあまり食べないんだよね』って話を聞くたびにすっごく悔しくて。一人でも多くの人に魚をおいしいって思ってもらえるような動画をあげていきたいと考えました。

 

 

YouTubeをうまく活用すれば、魚に興味を持ってくれる人をどんどん増やすことができる

 

―視聴者からの反響は?

 

コメントやいいねで反響を実感することもあるんですが、一番圧倒されたのは、昨年末にYouTuberさんとコラボイベントさせていただいたときの参加者の反応です。イベントの日は世界中からお客さんがいらしてくださり、小学生くらいの小さい子まで、『白子おいしい』『あん肝おいしい』って何回もおかわりにきて、すごい世界だなと思ったんですよ。わたしたち飲食店ってお店でお客さんを待ってるしかないけど、YouTubeなら動画を通して世界中に発信できる。これは、魚屋業界全体のパワーアップにもつながるんじゃないかなと思いましたね。

 

 

クジラを食べることに対してはいろんな意見があるけど、まずは動画を通してクジラを知ってほしい

 

―朝奈さんの動画の中でも、クジラを取り上げたものは特に人気ですね!

 

クジラに関しては、ずっと一番やりたいと思っていたんです。書き込まれたコメントを見て、食べたことない人がすごく多いことがわかったんですけど、視聴をきっかけに寿商店のオンラインサイトで購入してくれた人もいたみたい。海外から視聴してくれた人の中には、『クジラを食べるなんてかわいそう』っていう英語のコメントを書き込む人もいたけど、その人たちにとっても、クジラのことを知ってもらえるきっかけになればいいなと思っています。

 

 

「食べてみたい」と思ってもらえるような、絵的にもそそるメニューを考えている

 

―YouTubeで紹介するメニューはどのようにして考えているのですか?

 

クジラを食べたことがない人がまだまだ多いのだからなおさら、『食べてみたい』と思ってもらえるようなアプローチをすることが大事だと思っています。たとえばステーキだとかは、絵的にも食欲がそそられるでしょ? 昔ながらのハリハリ鍋とかももちろんとってもおいしいんですけど、視覚に訴える、よだれが出そうな料理を発信するよう心がけています。今はまだ赤身しか紹介していないですけど、今後はさえずりを使ったベーコンなんかも紹介していく予定です。毎回、社長とふたりであーじゃこーじゃ言いながらメニューを考える作業も楽しいですよ。

 

 

子どものころにクジラを食べたことがある人は、「おいしくない」と思っている人も多い

 

―クジラの魅力は何だと思いますか?

 

一番はやっぱり、おいしいことです。お店で接客していてわかったことですが、クジラ肉のとらえかたは世代によってだいぶ違う。年配の方は、『給食で食べたことあるけど固かった』『ニオイも臭かったからもう絶対食べたくない』と頑なでなかなか食べてくれない。それでも諦めずに何回もおすすめしていたら試してみてくれて、『えっ!? これってクジラなの?』って想像してたとおりのリアクション。『でしょう? クジラっておいしいんですよ』って他にもいろんなメニューをすすめちゃいます。一方、学生さんや若い世代のお客さんは、レアステーキ丼がクジラだと認識せずに注文されて、あとから『へー、これってクジラなんだ!』って。

 

 

気負わず食べてもらいたいから、「クジラ食文化を普及しよう」は敢えて発信していない

 

―メニューに詳しい説明などは書いていないのですね。

 

普及のためによくある『クジラを食べよう』みたいな文言を右にならえで添えてた時期もあったんですけど、そうすると余計食べ辛いと思うし、『食べるのっていけないことなのかな……』って思う人もいるかもしれない。だから、他の食材と同じように、クジラを使っていろんな料理を作って提供することをこちらも楽しんでます。クジラの刺身はもちろん、焼いてもおいしいし、ユッケ、肉まんもやったし、クジラのチヂミ、クジラのピザなんてのもやりましたね。

 

 

9月4日のクジラの日には、料理半額やくじ引きなどの楽しいサービスを用意

 

―9月4日のクジラの日には、毎年、寿商店が運営している飲食店でさまざまなイベントを催されているとのことですが、これまでにはどんなイベントを開催してきたんですか?

 

クジラの日が制定されて以降の試みなので、まだそんなに回数重ねてはいないんですけど、店舗でのクジラ料理半額サービスだとか、クジラ料理を食べた人だけが楽しめるくじ引きを用意したり。今までクジラを食べたことがない人にも、『この機会に食べてみようかな』と思ってもらえるよう、いろんな工夫をしてきましたし、9月4日の1日だけじゃなく、1カ月間くらい実施し続けることで、より多くの人にクジラのおいしさを発信しています。

 

※日本記念日協会によって、2012年より、9月4日を「クジラの日」と正式に制定

 

―じゃあ今年のクジラの日を心待ちにされているお客さんも多いでしょうね。

 

そうだったらうれしいです。今年も新しいことに挑戦していくので、楽しみにしていてほしいですね。

 

インタビュー【後編】に続く

 

■森朝奈さん(株式会社寿商店 常務取締役)
株式会社寿商店:昭和55年創業の魚屋「寿商店」。愛知県名古屋市を中心に飲食店12店舗、鮮魚の卸売りを行っています。
魚屋の森さん(YouTubeチャンネル)

 

 

くじら総合サイト「くじらタウン」の記事を転載しています

 

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