
日本野球機構(NPB)のロゴ=東京都港区
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プロ野球のセ・パ両リーグは、3月28日に開幕する。それまでに、この問題をすっきりさせなければならない。
選手らにオンラインカジノ利用が疑われる中、球界の対応は不透明なままだ。このまま開幕を迎えてファンの理解を得られるのか。日本野球機構(NPB)としての明確な統一判断を早急に示すべきである。
この問題では2月、オリックスの山岡泰輔投手のオンラインカジノ利用が明らかになり、球団は活動自粛を命じた。NPBは全球団の選手、関係者に自主申告を求め、7球団14人の選手らの利用が明らかになった。
だがNPBは球団名、選手名を明示せず、処分などの対応も各球団に一任した。福岡県警がソフトバンクの球団関係者から任意で事情を聴いたことも明らかになったが、当事者が自主申告していたかについてもNPBや球団は明言を避けている。
このままうやむやとなれば、活動自粛の山岡投手との間に不公平感が生じる。また自主申告選手らのみを処分すれば、正直者が損をするだけの結果となりかねない。公表を免れた選手名を反社が入手すれば、強要の材料となって敗退行為への誘い水となる可能性もある。

NPBは早急に自己申告の期限を設け、処分基準を明確にして球団名、選手名を公表すべきである。その際、重い処分は求めない。オンラインカジノを利用した選手らは真摯(しんし)に反省の弁を述べ、啓発活動に積極的に関与し、速やかに野球の現場に戻ればいい。期限後に利用が明らかになった選手らには厳罰を科す。NPBは、そう宣言してはどうか。全て球団一任では無責任にすぎる。
そもそもプロ野球協約は第180条で「賭博行為の禁止」をうたうが、その対象は野球賭博に限られる。米大リーグは規定で全ての違法賭博を禁じ、韓国プロ野球も規約にオンラインカジノ利用への制裁を明記している。NPBも協約の改定を急ぐべきではないか。
いうまでもなくオンラインカジノに日本から賭ける行為は違法であり、犯罪である。手軽に賭けられるため依存症に陥れば際限なく負債が膨らむことは、大谷翔平選手の元通訳の事例でも明らかだ。NPBが先頭に立ち、組織として悪弊を断ち切る好例を示してほしい。
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2025年3月12日付産経新聞【主張】を転載しています
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