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ミュージカル『魔女の宅急便』待望の再々演 「エネルギーが沸いてくる舞台を!」原作者、角野栄子さんに聞く

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(c)Kadono Eiko Office

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2017年に初演、2018年に再演され、連日大盛況となった大人気ミュージカル『魔女の宅急便』。ついに待望の再々演が決定した。3月25日からの東京の「新国立劇場 中劇場」を皮切りに、名古屋、大阪などで上演される。原作は、2018年に児童文学のノーベル賞とも呼ばれる国際アンデルセン賞作家賞を受賞した、世界的な児童文学作家の角野栄子さんだ。「創る人たち自身が楽しんで創れば、絶対に楽しい舞台ができるはず」と、新たなキャストで挑むミュージカルにエールを送る。原作に込めた思いや、再々演への期待などを角野さんに聞いた。

 

 

ミュージカル『魔女の宅急便』は、角野さんが1982年~2009年の27年間にわたり執筆した全6巻の児童文学が原作。最初は1989年にスタジオジブリが宮崎駿監督でアニメーション映画化し大ヒット。世界的に有名な作品となり、1993年~1996年には蜷川幸雄氏演出によりミュージカル化され、2014年には実写映画化、さらに2016年にはイギリス・ウエストエンドで舞台化されるなど、さまざまな形で世に送られてきた。そして2017年、若手新進気鋭の制作チームにより、新しいミュージカル版を上演。大盛況を博し、翌2018年に再演され、今回3年ぶりに再々演を迎える。

 

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魔女の宅急便(福音館書店)

 

13歳になった魔女のキキは、古くからの習わしにのっとり、相棒の黒猫・ジジと共に、満月の夜に魔女修行に旅立つ。自分で新しい町を見つけ、1年後には自力で暮らせるようにならなければいけないが、空を飛ぶ魔法しか知らないキキは、新しい町コリコでも様々な壁にぶつかる。飛べることを活かしお届けもの屋を始めたキキだが、前途は多難。自分という小さな存在に葛藤しながらも、飛ぶことに憧れる少年トンボや宅急便を依頼してくれた人々との交流、おソノさんに励まされながら、思春期の少女は少しずつ成長していくという物語だ。

 

-最初に再々演の知らせを聞いた時のご感想をお聞かせください。

 

また新しいミュージカル『魔女の宅急便』が見られることをとてもうれしく思いました。好評を得ての再々演ということですが、現実と全くかけ離れた話ではなくて、すぐ近くにいる人たちの話として、つまり自分の問題としても受け取れるという要素がこのミュージカルにはあると思います。同じ年頃の人たちも、年頃を過ぎた人たちも、憧れを抱いている子どもたちにとってもわかり合えるのではないでしょうか。

 

-ミュージカルだからこそ、というのもあると思いますが…、初演や再演をご覧になられていかがでしたか?

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ミュージカルというのは、言葉や音などの空気の波動みたいなものが舞台の上から客席に伝わってきますよね。そうすると、観ている自分の身体も一緒になって舞台の上にいるような感じになれるんです。その空間の中の楽しさとしたら、やっぱり凝縮されたものがあると思います。

 

ミュージカルはそもそも好きだったの。ブロードウェイの名作『マイ・フェア・レディ』の世界初演もニューヨークで見ました。だから、『魔女の宅急便』をミュージカル化するとお聞きした時には期待がとても大きかったですね。それより前には蜷川幸雄さんにも舞台で上演していただきましたが(93年)、それから何年かたっていましたし、若い方たちが演じてくださるというので期待は募りました。若い方たちの情熱から舞台が生まれたという印象がありましたね。

 

-『魔女の宅急便』のキャラクターに込めた思いをお聞かせください。

 

それぞれのキャラクターにはそれ相応の立場(役割)がありますが、私がいちばん興味があるのはジジですね。ジジの立場というのは、主役ではないけれども、主役に近い大事な存在だと思います。キキの成長物語ですけれど、お父さん、お母さん、おソノさん、そしてキキに荷物を託す人たちも、みんな自分の歴史を背負っていて、いろいろな人生を見せてくれます。あとは、キキはいろいろと失敗することがあるでしょう? その時に、人は知恵を働かせるんですよ。魔法もシンプルで、「飛ぶ」という一つしかできない。全知全能の魔法ではないから、みんな心を寄せて、自分の問題として見たり読んだりできるんです。そこが、今の世の中の私たちに近い魔法なんですよ。

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(c)楠聖子

 

-現在までに250冊を超える作品を生み出されていらっしゃいますが、物語を紡ぎ出されるその発想はどんなところから生まれるのでしょう?

 

物語を面白くしたいなと思っていると、登場人物たちが助けてくれるんですね。「もっとこんなこと、書いてみたらどう?」などと言ってくれます。自分がその世界で楽しみながら書いているからかもしれません。「自分が楽しくなければ、読んでくださる方も楽しくない」というのが信念です。大切にしていることは、お説教めいたことや押しつけがましいことは書かないということ。読んでくださる方って、義理でも忖度するでもなく、楽しいから読むんです。自分が楽しいというものを読んでもらいたいですね。

 

それは舞台も一緒ですよね。創る人たちが楽しくて、見る人たちも楽しい。だから舞台からその熱が伝わってくるのだと思います。たぶんこれは、ものを創る人たちの究極として目指していることじゃないかと思います。

 

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-今回キキ役でミュージカルに初挑戦する井上音生さん、トンボ役を演じるジャニーズJr.の6人組美 少年の那須雄登さんも共に10代。新たなキャストで臨む今回のミュージカル『魔女の宅急便』で楽しみにされていること、期待していることなどをお聞かせください。

 

大変な世の中ですから、若い2人がこんな世の中を楽しませ、明るい気持ちにするんだという自覚を持って、精一杯元気にやってほしいですね。一生懸命にやることも大事ですが、観客に喜んでもらいたいという気持ちが、今回は特に大切。このコロナ禍の時代に、物語というのははつらつとしていなくてはいけないと思うんです。そして、舞台を創られる方たち自身がまず楽しんで、邪気を吹き飛ばすような魔法をぜひ使っていただいて(笑)、エネルギーが沸いてくるようなミュージカルを創っていただけたらいいですね。

 

そして結論からいうと、誰にでも“魔法”というものはあるんです。自分が楽しいと思ったこと、これをやってみようと思ったことを、ずっと見つめてつきあっていく……喜んで楽しんで、途中挫折しながらも続けていくと、それがやがてその人の魔法のようなものになるわけです。大切なのは好奇心と想像力、それから冒険心。それがクリエイションとつながって、魔法が生まれると私は思っています。

 

 

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PROFILE かどの・えいこ
1935年1月1日生まれ、東京都出身。早稲田大学卒業後、2年間ブラジルへ渡り、1970年頃より絵本・童話の創作を始める。『ズボン船長さんの話』で旺文社児童文学賞、『魔女の宅急便』で野間児童文芸賞、小学館文学賞などを受賞。2018年に国際アンデルセン賞作家賞を受賞。『アッチ・コッチ・ソッチのちいさなおばけシリーズ』『ナーダと言う名の少女』『ラストラン』、戦争体験をもとに書いたフィクション『トンネルの森 1945』など250を超える作品があり、世界中で翻訳されている。

 

 

ミュージカル「魔女の宅急便」
会期:2021年3月25日(木)~28日(日)
会場:新国立劇場 中劇場
出演:井上音生、那須雄登(美 少年/ジャニーズJr.)、生田智子、横山だいすけ、藤原一裕(ライセンス)/白羽ゆり ほか

 

3月13日(土)チケット発売。
詳しくは公式HPへ⇒オフィシャルサイト
提供:フジテレビジョン

 

 

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