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【主張】中露首脳会談 世界の安定に寄与しない

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握手を交わすロシアのプーチン大統領(左)と中国の習近平国家主席=10月18日、北京(ロイター)

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「蜜月関係」をアピールすればするほど、そう演出せざるを得ない国情が浮かび上がる。中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が北京で首脳会談を行い、両国の結束を誇示した。

 

プーチン氏は中国の巨大経済圏構想「一帯一路」をテーマとした国際会合に招待され、演説を行った。ウクライナ侵略で国際刑事裁判所(ICC)から3月に逮捕状を出されて以降、旧ソ連圏以外では初の外国訪問となった。

 

ロシア同様、ICCに加盟していない中国だが、国際社会から強く非難されているプーチン氏を厚遇する姿勢には呆(あき)れかえるばかりである。

 

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北京の人民大会堂で開催された「一帯一路」の国際会議。奥は基調演説する中国の習近平国家主席=10月18日(共同)

 

会談で習氏は「国際的な公平・正義を守り、世界の共同発展に貢献する力を促進したい」とプーチン氏に語りかけた。公平や正義を守るというのであれば、明確な国際法違反であるウクライナ侵略を非難し露軍の即時撤退を要求すべきだった。

 

中露両国は結託して、米国や国際秩序に対抗するつもりかもしれないが、国際法や人権を軽視し、力による現状変更を辞さない国家が国際社会から信頼を得られるはずはない。信頼されない国家が世界の安定に寄与することもあり得ない。

 

「一帯一路」の国際会議で基調演説を終え、ロシアのプーチン大統領(右)と握手する中国の習近平国家主席=10月18日、北京の人民大会堂(共同)

 

中国との対等な関係を強調するロシアだが、実情は異なる。米研究機関などによると、ロシアは2017年時点で1250億ドルの対中債務を抱えている。中国はロシアに「一帯一路」向け資金の3分の1を融資してきたが、米欧の対露制裁でほぼ全額が不良債権化しており、中国に頭が上がらない〝属国化〟を指摘する声も出ている。

 

G7広島サミットの招待国首脳らを交えた会合に臨む岸田首相(奥中央)=5月21日(代表撮影)

 

中国にも誤算が生じている。インフラ建設支援などで新興・途上国と連携する枠組み「一帯一路」は、中国の過剰な融資によって途上国が苦しむ「債務の罠(わな)」が取り沙汰され、当初の期待は警戒へ変わった。

 

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中国は今回の会合に140カ国以上の代表が参加したと喧伝(けんでん)したが、首脳の出席は東南アジアやアフリカなど一部の国に限られた。ここへきて中国経済の成長鈍化がはっきりしてきた。これが中国共産党政権の土台を揺るがす可能性もある。

 

日本は米欧諸国と協力し、実のある支援で新興・途上国を引き込む動きを強めたい。それが中露の専制指導者の国際秩序攪乱(かくらん)を抑えることにつながる。

 

2023年10月21日付産経新聞【主張】を転載しています

 

 

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