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【主張】香港人留学生有罪 日本の「自由」も侵すのか

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裁判所に入る刑事罪行条例違反罪に問われた香港人女性=11月3日、香港(共同)

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香港の裁判所が、日本留学中に「香港独立」を支持する内容を交流サイト(SNS)に投稿した香港人女性(23)に対し、刑事罪行条例違反(扇動の意図を有する行為)罪で禁錮2月の実刑判決を言い渡した。

 

2020年の香港国家安全維持法(国安法)施行後、香港では言論の自由が奪われてきた。その中で、海外での言論活動も容赦しない当局の意向を反映した不当な判決だ。国家安全に関する言論統制を進める中国の習近平政権を意識した判決といわざるを得ない。

 

返還から26年を迎えた香港市内に掲げられた香港の旗と中国国旗=7月1日(共同)

 

この女性は18年から日本に留学し、同年以降、フェイスブックなどに投稿した13件の文章や写真が問題視された。19年に香港で続発した反政府デモのスローガン「光復香港 時代革命」(香港を取り戻せ 私たちの時代の革命だ)や、「香港独立が唯一の道」「テロ組織共産党」などの文言が含まれていた。

 

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19年当時、香港の反政府デモを支持した海外在住者は多い。ネット上にデモのスローガンなどを書き込んだ人は数えきれないだろう。大半は扇動目的ではなく、単なる支持表明に過ぎなかったはずだ。こうした人々が香港に戻れば投獄される恐れがある。判決の影響は大きい。

 

中国国旗が翻る香港の茘枝角拘置所。2019年のデモで逮捕・起訴された市民らが多数収容された=2022年12月25日(藤本欣也撮影)

 

裁判官は、この女性が問題の投稿を削除しなかった点などを挙げて、女性に扇動する意図があった根拠としているが、その判断はあまりに強引である。裁判官自ら、「他の人がまねをしないように予防しなければならない」と強調したように、見せしめ効果を優先した判決だ。

 

問題とされた13件の投稿のうち11件は日本滞在時のもので、日本語での投稿もあった。そもそも香港の司法管轄権が日本に及ぶのか。11件の中には、東京都内の美術館で行われた反政府デモ関連の展示会の写真もあった。表現の自由が認められた日本国内での展示内容が罪とみなされた形だ。日本政府は厳重に抗議する必要がある。

 

日本語での投稿についても、裁判官は「香港で日本語ができる人なら読んで理解できる」と例外視しない判断を示した。その論理でいえば、日本語だけでなく、他の外国語による投稿も処罰される可能性があるということだ。香港人に限らず、外国人であってもSNSの内容によっては香港で投獄される恐れがある。断じて容認できない。

 

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2023年11月10日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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