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TSMC熊本工場開所 半導体産業の人材育成に力を入れる台湾の大学

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熊本県菊陽町に建設された台湾積体電路製造(TSMC)の第1工場。工場の運営は同社子会社のJASMが行う=2月24日午前(共同)

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半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は2月24日、熊本県菊陽町に建てた国内初となる第1工場の開所式を開いた。10~12月期の量産開始に向け、生産ラインの立ち上げを急ぐ。年内に建設を始める第2工場と合わせ、政府が約1兆2千億円を助成する国家プロジェクトが始動。デジタル社会に欠かせない半導体のサプライチェーン(供給網)に加え、先端製品の技術をリードする台湾の有事も見据えて経済安全保障を強化する。

 

 

「産業のコメ」と呼ばれる半導体の受託生産で世界最大手の台湾、TSMCが2022年から熊本県に進出したことで、日台の経済一体化と同県の経済活性化が進んでいる。その影響は教育界にも及ぶ。台湾では、日本や台湾、そして世界でも通用する半導体人材の育成に力を入れ始めた。

 

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半導体人材の育成に注力する大学の中でも、日本人留学生を積極的に受け入れているのが、台湾桃園市にある開南大学だ。

 

台湾・開南大学(提供写真)

 

1990年に創設された同大は現在、商学、観光運輸、情報、人文社会、健康管理の5学部21学科があり、桃園国際空港が近いことから観光運輸学部空運管理学科が良く知れていている。国際交流を重視し、日本、韓国、米国、ベトナムなどを含む21カ国の大学と姉妹校協定を結んでいる。熊本県立大学など日本との姉妹校は50大学にも及ぶ。約4400人の学生が在籍しているが、日本人留学生の数は、台湾の大学で最も多い164人を数える。

 

TSMCのロゴ=2023年11月、台湾・新竹市(共同)

 

同校の林玥秀学長によれば、同校では近年、半導体関連の授業を積極的に増やしている。業界で勤務経験のある専門家が担当し、専門知識だけではなく、関連企業を経営するノウハウも教えていく。さらに、産業が今後、どのような方向に発展するのか、といった研究活動にも力を入れている。「技術者だけではなく、半導体企業の経営、管理などに携わる人材を輩出することを目標としている」と話し、今後は半導体関連学部の新設も視野に入れる。

 

熊本県菊陽町に建設された台湾積体電路製造(TSMC)の第1工場=2月12日(共同)

 

TSMCは日本初の工場を熊本県菊陽町に建設し、年内にも半導体の生産を開始する計画だ。同社はさらに2月6日、熊本県内に第2工場を建設すると発表、2027年の生産開始を目指す。同社が採用する大学新卒者の初任給は、地元企業と比べて月給で約7万円高いことがメディアで話題となっている。現在は台湾からの出向者が中心となっているが、今後は日本人の採用を拡大する見込みだ。

 

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開南大学国家・地域発展研究センターの陳文甲主任は「半導体産業はこれから大きく成長する産業なのに、人材育成の面で時代のニーズに追いついていない」と指摘したうえで、「私たちは半導体の専門家だけではなく、日本人留学生を受け入れることで、将来の日台の架け橋をたくさん作りたい」と話している。

 

筆者:矢板明夫(産経新聞台北支局長)

 

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