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「どうぶつの森」で香港民主化デモ? コロナ契機ゲーム新時代

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新型コロナウイルスの感染拡大により世界各国で外出規制が続いたことで、ゲームを取り巻く環境が大きく変わった。世界保健機関(WHO)が外出自粛のため自宅でのゲームプレーを推奨する中、ゲーム上ではファッションブランドや美術館とのコラボレーションに加え、香港の民主化運動まで展開。有名プロ選手が参加するスポーツゲームのオンライン大会も開催されるなど、仮想空間と現実世界の融合が進み、専門家は「新しい時代へ針が進んだ」と指摘している。

 

 

WHOが一転“お墨付き”

 

「#PlayApartTogether」(離れていっしょに遊ぼう)

 

3月11日に新型コロナの世界的大流行(パンデミック)を宣言したWHOが同29日、ゲーム関連事業者との共同キャンペーンでこのメッセージを表明した。

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世界中の人々に外出自粛を促すため自宅でのゲームプレーを推奨しており、ゲームアプリなどでは連動企画も開催された。WHOは2019年にゲーム依存を疾病として認定するなどゲームに対して否定的な姿勢だったこともあり、共同キャンペーンは衝撃をもって受け止められた。

 

ちょうどこの時期に爆発的にヒットしたのが、任天堂が3月に発売した「ニンテンドースイッチ」用のゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」(あつ森)だ。発売から6週間でダウンロード販売も含めて世界で1340万本超を売り上げるという驚異的な滑り出しを見せた。

 

無人島に移住したプレーヤーが大工や園芸、虫捕りなどをして動物たちと日々の暮らしを楽しむこのゲームは、外出自粛を続ける人々の心を癒やしただけでなく、さまざまなコラボが巻き起こった。

 

米国のファッションブランド「マーク ジェイコブス」やイタリアの「ヴァレンティノ」などは、実在の商品をモデルにしたゲーム内衣装を制作してキャラクターに着せ、その画像や動画をSNS(会員制交流サイト)で発信した。

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ゲームを新型コロナの感染拡大で中止されたファッションショーの代わりにするだけでなく、ゲームのアイテムとして衣装を配布してプレーヤーのキャラクターに着せてもらうことで、ブランドの認知度や親近感を高める狙いがある。

 

また、臨時休業を続ける米ニューヨークのメトロポリタン美術館は5月2日、デジタル化した40万点の所蔵作品をあつ森の公式素材としてホームページで無料公開した。プレーヤーがゲーム内に取り込めば、キャラクターの家にゴッホや葛飾北斎らの名画を飾ることができる。

 

 

習近平氏を虫取り網でたたく

 

一方で、自由なゲームの世界が思わぬ使われ方をするケースも出ている。香港の若手民主活動家、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏らは4月10日、香港政府の外出規制で禁止された街頭デモの代わりに、あつ森の中でメッセージを発信するプレー動画を動画投稿サイト「ユーチューブ」でライブ配信した。

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動画では、黄氏らが操作する愛らしいキャラクターたちが、地面に描かれた「光復香港、時代革命」(香港を取り戻せ、革命の時代だ)のスローガンの前で拍手したり、中国の習近平国家主席や香港政府の林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官の写真を取り込んだ画像を虫取り網などでたたいたりして抗議の意思を示した。

 

もはや社会現象といっても過言ではないあつ森を生み出した任天堂の古川俊太郎社長は5月7日の決算説明会で、「世界中の方々が苦しい状況の中で『ステイホーム』を余儀なくされている。任天堂だからこそできることがあるのではないかと社内で日々考えている」と胸を張った。

 

 

錦織圭、大坂なおみも参加

 

新型コロナ禍は、現実のスポーツの試合をオンライン上でゲームの腕前を競い合う「eスポーツ」に置き換える現象も引き起こした。試合や大会の中止を余儀なくされたスポーツ団体が相次いでeスポーツの大会を開催。有名プロ選手も参加することで「お祭り騒ぎ」となった。

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米バスケットボールリーグのNBAは公認ゲームソフトの大会を開き、八村塁選手ら現役の16人が腕前を競った。サッカーでは英イングランドのプレミアリーグが、有名選手も参加するサッカーゲームのイベントをオンラインで開催した。テニス界でも錦織圭や大坂なおみらトップ選手がリモートで出場し、世界中のファンを喜ばせた。

 

現実世界との融合が起きているゲーム業界。ゲーム雑誌「週刊ファミ通」元編集長でKADOKAWAシニアアドバイザーの浜村弘一氏は「ゲーム産業が新しい時代に向かって進む針が急速に動いた」と表現した。浜村氏は、外出自粛に伴う「巣ごもり需要」がゲームのダウンロード販売の伸長やユーザーがゲームに触れる時間・機会の創出につながったと指摘。今後は動画サイトなどと連動しながらゲームの“サービス化”が進むと分析した上で、「市場は次のフェーズ(段階)に移りながら右肩上がりの成長を続けるだろう」と予測している。

 

筆者:山本考志(産経新聞)

 

 

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