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【主張】東京五輪 「無観客」の前に手を打て

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東京五輪・パラリンピックの観客数の上限について、大会組織委員会や国際オリンピック委員会(IOC)などは、結論を6月に先送りした。

 

東京都では新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が発令中で、「観客あり」の話をしても批判を招くだけ、という関係者の懸念は理解できる。

 

それでも、政府や東京都の及び腰は目に余る。開催を見据えた医療資源の効率的な配分について、具体策は何ら示されず、日本代表選手にワクチンの優先接種を認める議論も進展がない。打てる手を打たなければ、国民の不安をあおるだけだ。

 

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組織委の橋本聖子会長は「無観客(開催)という覚悟は持っている」と述べ、無観客開催を決断する条件として「医療に支障を来すような状況」を挙げた。

 

だが、東京の感染状況にかかわらず、五輪の「安全・安心」を担保することに、組織委は取り組んできたのではなかったか。

 

大会時に選手らが取るべき行動をまとめた「プレーブック(規則集)」は、厳格なコロナ対策を義務づけている。選手は出国前の96時間以内にウイルス検査を2度受け、陰性証明書を提出する。入国後は毎日、検査を受ける。移動に公共交通機関は使えない-などの厳しい内容だ。

 

組織委が日本看護協会に看護師約500人の確保を依頼したことも、厳しい批判を受けている。前もって人員の確保に動くのは、大会時に国内の医療体制の混乱を招かないためだが、具体的な説明を欠いては不信感を招く。

 

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五輪開催が感染を拡大するイメージが先行し、禁欲的に鍛錬する選手たちが肩身の狭い思いをする構図は、明らかにおかしい。感染状況を可能なかぎり抑えるなど、先にやるべきことがあるはずだ。中止ありきの議論が先走りするのは本末転倒である。

 

現状を打開するのは、リーダーの強い発信力以外にない。菅義偉首相は「IOCは開催すると決定している」と述べたが、それでは責任転嫁だ。

 

安倍晋三前首相が「1年延期」をIOCに提案した時点で、政府は開催に向けて責任を負った。菅首相自らが覚悟を示し、感染抑止への取り組みと大会の「安全・安心」を発信しなければ、開ける五輪も開けないのではないか。

 

 

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2021年5月1日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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