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英知集結 生命の謎に挑む リュウグウ試料の分析開始

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生命の源はどこからやってきたのか―。謎を解明するため、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウで採取した石や砂の初期分析が6月、本格的に始動した。北海道大を中心とした化学分析チームも、分析機器を扱う「堀場テクノサービス」(京都市南区)でX線などでの調査を開始。謎に包まれた生命誕生の起源や太陽系の成り立ちに迫れるか、期待が高まる。

 

「英知を集めて採取された貴重なサンプルを分析することに責任を感じる。人類として初めて測定した情報をみられることに、わくわくしている」

 

6月24日、堀場テクノサービスで行われた分析開始式で、チームの一員で同社分析技術本部、沼田朋子部長は意気込みを語った。

 

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化学分析チームに配分された試料は100ミリグラム弱とごく微量。同社などは、そのうち約3分の1にあたる30ミリグラムを調べる。同社に白羽の矢が立ったのは、世界的にも高精度なX線技術を誇り、1ミリグラムの微量な試料でも分析できる自社装置を持っているからだ。

 

同社では、試料にX線を当て、その際に生じる「蛍光X線」と呼ばれる元素ごとに持つ固有の光を分析し、物質に含まれる元素の種類や量などを明らかにするほか、別の装置で鉱物の種類や分子構造を特定。同社の機器を使うことで、貴重な試料を傷つけることなく分析でき、次のステップにつなげられる。

 

同社での分析は数週間かかり、その後も東京工業大などで調査を継続し、チームは来年度中にも分析結果を公表する見通し。

 

 

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試料の採取地であるリュウグウは、地球と火星の間にある小惑星だ。太陽系が誕生した46億年前の状態で、水や生命の源である有機物が残っているとされる原始的な「C型小惑星」に分類され、「太陽系の化石」ともいわれる。地球上の水や有機物は、こうした小惑星の衝突によってもたらされたとする仮説が研究者によって支持されてきた。

 

はやぶさ2は、令和元年にリュウグウの地下の試料採取に世界で初めて成功。打ち上げから6年後の昨年12月、リュウグウの表面と地下で採取した5・4グラムの石や砂を持ち帰った。

 

 

試料の初期分析は北大や東京大などを中心にした6チームが、有機物や鉱物、化学といったテーマごとに実施。ほかにも国内の2研究所が加わり、分析の手法や技術の開発に取り組んでいる。1つの研究所の調査では、試料に水や有機物が含まれていた可能性を示すデータを確認した。

 

今回の化学分析で、試料と地球上の物質との関連性が見つかれば、太陽系誕生当時の様子や地球の水の起源、生命誕生に至るまでの進化の過程といった謎を解明する鍵となりうる。化学分析チーム代表で北大の圦本尚義(ゆりもとひさよし)教授は「隕石(いんせき)の化学分析で地球が46億年前に誕生したことがわかったように、新たな太陽系の歴史やなぜわれわれが地球にいるのかを問うきっかけとなる材料を得たい」と語った。

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筆者:渡辺恭晃(産経新聞)

 

 

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