fbpx
Connect with us

忍者通じ「日本文化を世界に」 甚川浩志さん

Published

on

~~

 

映画や時代劇、マンガの題材としても根強い人気を誇る「忍者」は、海外での知名度も高い。野人流忍術「野忍(やにん)」主宰、甚川(じんかわ)浩志さん(51)=東京都あきる野市=は、自ら忍者にふんして「忍術体験プログラム」を企画している。忍者ゆかりの地の観光協会とも連携し、イベントなどでは子供や外国人観光客に向けて、忍者を介した日本文化の発信に取り組む。

 

体験プログラムでは自ら黒装束に身を包み、子供らに忍者道具などを丁寧に解説。その姿は、まるで現代に忍者がよみがえったかのようだ。幼稚園からの依頼や親子連れを対象としたイベントでは、実際に手裏剣打ちをしたり、自然の中で活動したりと、さまざまなことを楽しみながら体験できるように工夫している。

 

 

調査会社から転身

 

Advertisement

生まれは大阪府。大学卒業後、自動車メーカーから調査会社に転職した。その際、上司に「今日からお前は忍者だ」と言われたことを、今でも強烈に覚えているという。地道な調査活動に当たる姿を例えた言葉だったが、「あれが自分が最初に忍者になったときでした」と笑顔で振り返る。

 

調査会社に約5年勤務するなどした後に独立し、主に企業向けリスクマネジメントやコンサルタントの仕事を始めた。そうした中、リーマンショックや東日本大震災を目の当たりにして考えが大きく変わった。「世界が激しく変化する中、マネジメントもこれからは別の次元で考えないといけない」。それが「職業忍者」に至る原点だった。

 

マネジメントの経験を生かした事業を模索する中、もともと山登りなどのアウトドアが趣味だったこともあり、屋外での教育活動を思い立つ。そこで、英国発祥の「ボーイスカウト」などをヒントに構想を練った。「日本から世界に広めるならやっぱり忍者」とテーマを決め、約1年の準備期間を経て平成25年から今の活動を行っている。

 

現在は、戦国時代に北条氏の本拠地があった神奈川県小田原市の地元とも組んで、「かながわ西観光コンベンションビューロー」の〝専任忍者〟や、小田原市観光協会の〝風魔(ふうま)一党指南役〟を務め、「風魔忍者」のPRに携わっている。風魔忍者とは、北条氏の下で活躍したとされる忍者のこと。活動の拠点をあきる野市に据えているのは、かつて北条氏の勢力の最前線だったことも理由だ。

 

Advertisement

 

日本文化の多様性を

 

このほか八王子市などで月1回程度の「道場」を開いたり、檜原村の「エコツアー」に参画したりするなど、活動範囲は幅広い。

 

近年は、外国人観光客がプログラムを受けに来ることもあるという。そうした人々は比較的年齢層が高く、日本文化を深く知るための一環として来るケースが多い。一番伝えたいことは、多様性を内包する日本の「和」の文化だ。

 

「自然への接し方をみても、日本は自然との『共生』を目指すという考えが強い。そうした価値観を世界に広めることは意味があると思う」

 

Advertisement

コロナ禍の現在は、体験プログラムには厳しい環境だが、オンラインでの活動も行っている。「コロナで世界自体が行き詰まっているが、日本文化の考え方は、色々な問題を解決する糸口になると思っている。忍者を通じて、世界の人が日本の考え方を生かすことで、社会が良い方向に向かうような、そうした役に立つことができればうれしい」と語る。

 

筆者:太田泰(産経新聞)

 

 

この記事の英文記事を読む

 

 

Advertisement
Continue Reading
Click to comment

You must be logged in to post a comment Login

Leave a Reply