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【主張】原爆の日 覚悟持ち独自の道を進め

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昭和39年の東京五輪で聖火の最終ランナーを務める坂井義則さん。原爆投下の日に広島で生まれた

 

2度目の東京五輪が開催される中、広島は76回目の原爆の日を迎えた。昭和39年の初の五輪では聖火の最終ランナーを原爆投下の日に広島で生まれた坂井義則さんが務めて被爆国日本の戦後復興を世界に印象付けた。

 

今回は、世界が新型コロナウイルスという新たな脅威と闘う中での五輪である。

 

 

昨年に続いて平和記念式典は縮小開催となるが、犠牲者の霊を弔う気持ちに変わりはない。緊急事態宣言や蔓延(まんえん)防止等重点措置が出ている都道府県もある。外出を控え、心静かに祈りたい。

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被爆者の平均年齢は84歳に迫った。高齢化が進む。原爆投下直後に降った「黒い雨」をめぐる訴訟で原告勝訴が先日確定した。救済の枠組み構築を急ぎたい。

 

原爆の惨禍を直接知る人が減る一方で、世界における核の脅威は増大の一途をたどっている。

 

今年1月、核兵器の開発や実験、保有、使用を全面的に禁止する核兵器禁止条約が批准した50の国・地域で発効した。核廃絶への歩みを進めると期待する向きもあるが、ことはそう単純ではない。条約に加わらない日本を非難するのも短絡的な見方である。

 

米露中英仏をはじめ、核保有国はこの条約に一国も加わっていない。日本だけではなく北大西洋条約機構(NATO)加盟国や韓国など、米国の核抑止力(核の傘)を利用する国も同様だ。

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唯一の被爆国として、日本が核兵器廃絶や核軍縮を目指すのは当然のことだ。ただ、核禁条約ではその実現は難しいという現実を直視すべきである。

 

地図を見てほしい。日本は中露や北朝鮮の核の脅威に常にさらされている。もし日本が条約に加われば、核抑止力を先に解くことになる。よしんばすべての保有国が核を放棄したとしても、水面下で核を持とうとする国やテロ組織が現れないという保証はない。

 

 

繰り返すが日本は唯一の被爆国である。だからこそ歩む独自の道に、使命と覚悟を持つべきだ。

 

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広島や長崎の悲劇を世界に伝え続けることは責務であり、日本を最初で最後の被爆国とすることは使命である。そして理想のみに頼らず流されず、現実的見地に立って平和を追求し続ける覚悟が必要だ。被爆国である日本が条約に加盟しない理由こそ、世界の核の現実である。

 

 

2021年8月6日付産経新聞【主張】を転載しています

 

この記事の英文記事を読む

 

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