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社説検証 東京五輪閉幕 産経「感動分かち合えた」/朝日「状況深刻になった」

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新型コロナウイルスの世界的大流行の中、1年の延期を経て無観客で開催された東京五輪が閉幕し、翌8月9日付各紙は、いずれも1本の大型社説(通常は2本)で、大会を総括した。最大の論点となったのは、コロナ禍で開催してよかったかどうかである。

 

産経は明快に肯定した。中止を求める声があったことを念頭に、「これほど心を動かされる夏を、誰が想像できただろう」と問いかけ、「確かなことは、東京五輪を開催したからこそ、感動や興奮を分かち合えたという事実だ。新型コロナウイルス禍により無観客を強いられたが、日本は最後まで聖火を守り抜き、大きな足跡を歴史に刻んだ。その事実を、いまは誇りとしたい」と論じた。

 

多くの競技と名場面の中から産経はとくに、スケートボード女子パークの決勝を取り上げた。「岡本碧優(みすぐ)が逆転を懸けた大技に失敗して競技を終えた直後、ライバルたちが駆け寄り、抱擁の輪と肩車で敗者をたたえた。その多くは10代の若者だった」とし、「コロナ禍の1年半で、他者を疑いの目で見ることに慣れた大人たちへの警鐘が、そこからは読み取れる」との見方を示した。

 

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読売も「新型コロナウイルスの世界的な流行という困難を乗り越えて開催された異例の大会として、長く語り継がれることだろう」と開催の意義を説いた。日本が金メダル27、メダル総数58といずれも過去最多の獲得となったことに言及し、個人戦男女14階級のうち9階級を制覇した柔道や、2冠達成の体操の橋本大輝選手、水泳の大橋悠依選手らの活躍を称(たた)えた。

 

日経は「都の1日の感染者数は5千人を超える日もあり、まさに非常時の開催となった。携わったスタッフらに敬意を表したい。開会直前まで混乱が続き、批判が渦巻く中、選手らは外部と接触を断つバブル方式を徹底、実力を発揮した。スポーツの力を存分に証明した大会といえる」と評価した。

 

一方、5月の社説で、開催中止を菅義偉首相に求めた朝日は、「新型コロナが世界で猛威をふるい、人々の生命が危機に瀕(ひん)するなかで強行され、観客の声援も、選手・関係者と市民との交流も封じられるという、過去に例を見ない大会だった」と批判した。うまくいくかもしれないという一種の「賭け」であり、「賭け」に出た結果、状況はより深刻になったと断じた。

 

「懸念された感染爆発が起き、首都圏を中心に病床は逼迫(ひっぱく)し、緊急でない手術や一般診療の抑制が求められるなど、医療崩壊寸前というべき事態に至った」とし、五輪参加者から感染が広がったわけではないという指摘には、「市民に行動抑制や営業の自粛を求める一方で、世界から人を招いて巨大イベントを開くという矛盾した行いが、現下の危機と無縁であるはずがない」と反論した。

 

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東京も「会場のほとんどは無観客となり日本国民の大多数はテレビで観戦した。選手やコーチ、大会関係者は『バブル方式』という、外部との接触を遮断された『泡』の中で過ごし、感染すれば排除され、観光で外出すれば指弾される。こんな状況を目の当たりにすれば、コロナ禍の日本で今、開催する意味が本当にあったのか、との思いを抱くのは当然だろう」と難じた。

 

毎日は、この時期の開催が適切だったかどうかは「閉幕後も問われ続ける。酷暑の問題も含め、主催者と日本政府はきちんと検証しなければならない」とするにとどめた。

 

24日からは東京パラリンピックが始まる。感染すると重症化のリスクが高い基礎疾患を抱える選手もおり、帯同する介助者についても感染予防が必要になる。対策に万全を期してもらいたい。

 

筆者:内畠嗣雅(産経新聞)

 

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■東京五輪閉幕時の主な社説

 

産経
・全ての選手が真の勝者だ/聖火守れたことを誇りたい

 

朝日
・混迷の祭典 再生めざす機に

 

毎日
・古い体質を改める契機に

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読売
・輝き放った選手を称えたい/運営面での課題を次に生かせ

 

日経
・「コロナ禍の五輪」を改革につなげよ

 

東京
・大会から学ぶべきこと

 

(いずれも8月9日付)

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