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【主張】露の衛星破壊 宇宙の安全脅かす暴挙だ

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ロシアが11月15日、ミサイルによる人工衛星の破壊実験を行い、大量のデブリ(宇宙ゴミ)を地球軌道上に拡散させた。

 

デブリはごく小さなものでも、人工衛星や宇宙船に衝突すれば大きな被害をもたらす。ロシアの危険で無責任な行動に国際社会から批判の声があがったのは当然だ。

 

米国の発表によると、ロシアによる15日の実験では、確認できただけでも1500個以上のデブリが発生した。破片群が近くを通過したため、国際宇宙ステーション(ISS)で就寝中だった飛行士は約2時間、係留されている宇宙船に避難した。

 

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ブリンケン米国務長官は、発生したデブリが「数十年にわたって衛星を脅かす」とロシアの行動を強く非難した。

 

衛星破壊による大量のデブリ発生が問題視されるのは、2007年の中国による実験以来である。08年には米国、19年にはインドも衛星破壊実験をしたが、いずれもデブリが長くとどまることがないよう低軌道で行われた。

 

現代の軍事では人工衛星は核心的役割を担う。通信はもとより、敵のミサイルや航空機を探知するのも、自陣営の兵器を迎撃へと誘導するのも、衛星の役割だ。このため、中露は衛星攻撃兵器(ASAT)の開発に余念がない。

 

日本は同盟国米国とも連携し、中露のASATによって衛星が無力化されないよう、宇宙での抑止力構築に努める必要がある。

 

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ロシアは、米国が宇宙空間にミサイル防衛兵器を配備することを警戒してきた。今回の実験には、衛星を破壊できる実力を誇示し、米国を交渉の場に引き出す狙いがあると考えられる。

 

今回の実験についてロシア国防省は、宇宙での活動に危険を及ぼすことはなく、米国による批判は「偽善的だ」と反論した。そのうえで、米国こそが宇宙での軍拡防止に向けたロシアの条約案を拒んできたと批判した。

 

宇宙空間の利用に関する規範の整備は必要だろう。

 

だが、真っ先に規制されるべきは、ロシアや中国が行ったようなデブリを大量に発生させる衛星破壊実験ではないか。日本や米国は、民主主義諸国の安全保障を担保する形で国際的な議論を進めるべきだ。宇宙空間でもまた、中露の傍若無人な振る舞いに屈するわけにはいかないのである。

 

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2021年11月26日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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