ブルーシートで覆われたベルリンの慰安婦像(吉田賢司撮影)
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Comfort Women Issue: A New Opportunity for Berlin's 'Statue of Peace'?
([慰安婦問題]ベルリンの「平和の像」に新たな機会?)
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世界各地で最近、慰安婦像を新設する動きが活発化している。この7月、ドイツ中部ヘッセン州のカッセル大学に設置されたのに次いで、8月には韓国の忠南国立大学に置かれ、米東部ペンシルベニア州フィラデルフィアでも像の新設をめぐり議論となっている。なぜ、いまなのか-。
英語ニュース・オピニオンサイト「JAPAN Forward」(JF)では、韓国在住のジャーナリスト、吉田賢司氏が日英両言語でこの問題について詳しく、しかも継続してリポートしている。
吉田氏によると、像の設置を推進する韓国の団体が「少女像」と呼ぶ慰安婦像の数は現在、確認されているものだけで韓国内の144体。世界全体では推定177体に上る。
だが、韓国内では、像の設置を主導してきた市民団体の元代表、尹美香(ユン・ミヒャン)氏が2年前に、寄付金の私的流用事件を引き起こしたのを契機に風向きが変わった。先の忠南国立大の像は許可されない中、夜中にゲリラ的に設置されたものの、大学側が撤去を求めるなど像の設置は難しくなってきているという。
さらに、旧日本軍が少女たちを強制連行し性奴隷とした歴史的史料は存在しないことを、韓国人の学者や研究者自身が指摘、こうした「偽りの歴史」をもとにした「詐欺行為」をやめるよう訴え始めた。
韓国の大手メディアは、これらの動きを黙殺している。それでも、ソウルの日本大使館前で水曜日に行われる「反日デモ」の動員数は減少し、韓国内の慰安婦運動は退潮傾向にある。このため、像設置を推進する韓国の市民団体は欧米諸国での活動にシフト。それが欧米での像新設につながっているという。
一方、それにあらがう動きも出ている。米国では、慰安婦像設置を中心とする「フィラデルフィア平和広場」新設案が公表されると、現地の日本人や日系人たちが民族・国家間対立を増長するなどとして激しく反発し、議論となっている。同案をめぐるリモート公聴会が9月19日に開かれた際は、発言者31人中7割以上の23人が慰安婦像の設置に反対した。
発言した韓国の落星台経済研究所の李宇衍(イ・ウヨン)研究委員は「米国市民が韓国人たちの間、そして韓国と日本の間にある歴史的葛藤に介入しないことを要請する。この像を立てることで、平和ではなく、(両国間の)葛藤が一層悪化するだろう」と警鐘を鳴らした。
フィラデルフィア市の日系市民団体も、像の設置がこれまで構築してきた韓国人コミュニティーとの健全な関係を取り返しのつかないほど毀損(きそん)し、不必要な紛争の種となることに憂慮を示した。同市芸術委員会は10月12日、像設置の可否について最終決定を下す予定だ。
本欄で以前紹介したドイツの首都ベルリン・ミッテ区にある慰安婦像でも、動きがあった。上の英文(日本語訳)は、それを伝えたJF記事の見出しだ。
9月28日で設置の特別許可の期限が切れた「平和の像」(慰安婦像)の今後についてベルリン市役所に尋ねたところ、日本政府の撤去要請にもかかわらず、同市が設置の延長に向けて動いていることが明らかになった。一方、戦時中の性的暴力の犠牲者を追悼する、より普遍的な内容の碑文に変更される可能性があることを示唆した。
「偽りの歴史」によって対立と憎悪を生み出した慰安婦像は、今後どうなっていくのか-。JFは、世界で続く「歴史戦」の最前線とその行方を注視していきたい。
(JAPAN Forward編集部)
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