英王室とゆかりが深く、「アカペラの王様」と呼ばれる英国の「ザ・キングズ・シンガーズ」(TKS)が、新型コロナウイルスの影が世界に重くのしかかる中、日本と世界のファンに希望のメッセージを動画で寄せた。
6人の男声ボーカルからなるTKSは昨夏、日本の「令和」の到来を祝うため来日し、一夜だけの特別奉祝演奏会を開催。演奏会には、高円宮妃久子さまが臨席し、観客とともに美しいハーモニーを堪能した。TKSはその後も、世界で演奏活動を続けていたが、今回のコロナ禍で、コンサート活動を停止、自宅待機を続けていた。
経済再開の動きは英国でもあるものの、コンサート活動の再開にはまだ至っていない。
TKSのテナーで、日本人の母を持つジュリアン・グレゴリーさんが、英語ニュース・オピニオンサイト「JAPAN Forward」に英語と日本語でメッセージを寄せた。
10月の来日公演で新曲披露
グレゴリーさんは世界の人々が先の見えない不安の中、「世界のハーモニーが一時的にもなくなってしまったような気がします」と指摘。TKSが、それでも新たなハーモニーを見つけようと、日本や世界の作曲家に新曲の作曲を依頼していることを明らかにした。
そのうえで、「今年10月に予定されている『ファインディング・ハーモニー・イン・ジャパン』来日公演では、それらの新曲もお披露目することができる」と語り、この秋の来日公演を楽しみにしていると強調した。
さらに、「お互いをいたわり、協力すれば、必ずやこの恐ろしい敵に打ち勝ち、世界の健康とハーモニーを取り戻すことができる。希望は決して潰えることはありません」と訴えた。
最後に、希望のメッセージを込めた「ワン・デイ(いつの日か)」(ミシェル・ルグラン作曲、リチャード・ベネット編曲)を歌い、美しいハーモニーを披露した。TKSの動画メッセージと歌は、こちらから視聴できる。
(JAPAN Forward編集部)
◇
【メッセージ全文】
日本の皆さん、そして、世界の皆さん、ザ・キングズ・シンガーズです。
ここほんの数カ月の間に、世界は、新型コロナウイルスという未知の感染症の突然の出現に大きな不安の中にあります。
愛する人を突如失い、深い悲しみに打ちひしがれている方々、この瞬間も自らの危険を冒しながら感染者の治療にあたる医療関係者、そして私たちのように、感染しないように外出を控えて自宅待機をする人たち…。いつまでこのような不安の生活を続けなければならないのでしょう。はっきりとした答えはまだありません。しかし、私たちがお互いをいたわり、協力すれば、必ずやこの恐ろしい「敵」に打ち勝ち、世界の健康とハーモニーを取り戻すことができるでしょう。
希望は、決して潰えることはありません。
私たちは、昨年、新しい天皇が即位した日本を訪問する光栄を得て、新しい時代「令和」の到来を祝う一晩だけの奉祝コンサートを東京で開きました。日本の「令和」とは、「美しいハーモニー」という意味です。この不安の時代にあって、世界のハーモニーが一時的にもなくなってしまったような気がします。
私たちザ・キングズ・シンガーズは、日本や世界の作曲家にお願いをして、新たなハーモニーを見つけるべく、動き始めています。今年10月に予定されている「ファインディング・ハーモニー・イン・ジャパン」来日公演では、それらの新曲もお披露目することができると思います。
それまで、オンラインでつながり、協力し合い、生活に調和を見出しましょう。それは、新しい外国語を学ぶことでも、自宅で歌うことでも、家族や友達の安否を気遣うことでもよいのです。
最後に、いつかまた皆様のために、コンサートで歌える日を待ち望んでいます。この間、ライブで収録した、ミシェル・ルグラン作曲、リチャード・ベネット編曲の「いつの日か」を皆さまに贈りたいと思います。これはとても美しい曲で希望を持つメッセージが込められています。
◇
関連記事を英文で読む
The King's Singers Perform ‘One Day’ Exclusively For Fans During Covid-19 Crisis
INTERVIEW | The King's Singers During COVID-19
(Part1) Still Finding Harmony While Staying at Home
(Part2) Looking Forward to their Japan Tour