安倍元首相の国葬に反対する抗議集会で気勢を上げる人たち
=8月31日夕、国会正門前(共同)
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What to Know for Travel to Japan: Relaxed COVID-19 Rules, No Tour Guide
(訪日渡航情報:緩和された検査ルール、ガイドは不要に)
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きょう19日は、96歳で死去したエリザベス英女王の国葬の日である。女王は第二次大戦後、皇室との交流を深め、反日感情がまだ色濃く残る中、かつての敵国・日本との和解に主導的な役割を果たした。まさに、日本の友であった。
かつて7つの海を支配した大英帝国は、2つの大戦を経て崩壊し、植民地主義が終焉(しゅうえん)を迎えた。女王はそんな戦後の新しい時代に即位した。以来、さまざまな批判を受けながらも70年以上にわたり、たゆまなき努力と国家国民への奉仕を重ねて「開かれた王室」を進化させた。自由と民主主義が最上の価値観となった欧米諸国にあって、女王は英連邦の統合の象徴となり、新時代の立憲君主制のあるべき姿を自ら示してみせた。英語ニュース・オピニオンサイト「JAPAN Forward」(JF)は、そんな女王の功績を称(たた)え、安らかな眠りを心より祈りたい。また、新国王となったチャールズ3世(73)に、エールを送りたい。
日本でも、テロリストの銃弾に倒れた安倍晋三元首相の国葬が来週27日執り行われる。しかし、こちらは野党を中心とする国葬反対派が首相官邸前などで騒々しい抗議活動を繰り返している。国葬までが政争の具と化して、人の死を静かに悼む心までが踏みにじられていると感じる人は多いのではないか。
「反安倍」の政治的なスローガンを声高に叫ぶ活動家や批判ばかりの政治家、メディアが求めているものは何なのか。想像するだけで胸騒ぎがしてくる。
JFは、安倍氏暗殺に関する記事を多数掲載している。その中でも、英国人コラムニストのピーター・タスカ氏のコラム記事「安倍氏のレガシー・広範囲に及ぶ改革によって力を得た日本」(10日掲載)は、示唆に富んだ内容である。逮捕された容疑者が、母親が入信し多額の寄付で家庭が崩壊したと供述する宗教団体、旧統一教会と政治家の関係についても言及している。
興味深いのは、反共産党だった旧統一教会の教祖・文鮮明が2012年に死ぬ前に反共思想を捨て、自らの出身地である北朝鮮でビジネスを始めたことだ。そして死後、最高指導者の金正恩氏から栄誉を受けた。タスカ氏は、日本の重要な政治家が旧統一教会と関係を持つ主な理由に、北と「非公式」なチャンネルを持つためだったのではないか、と推測している。
「安倍氏が始めた外交政策や日本文化への誇り、他の民主主義国と同じ水準の情報を持つといった日本の『普通の国』づくりに向けた旅は続く。安倍晋三は暗殺されたが、彼のレガシーは尊敬され、続けられることを切に願う」。タスカ氏はこう締めくくった。
とはいえ、この2週間、JFで最も読まれたのは、上の英文見出しの記事だった。日本が新型コロナウイルスの水際対策を緩和し始めたことを伝えた記事である。日本に関心を持つ外国人たちの最大の関心は、まさに訪日のために必要な情報なのだ。
これ以外にも、日本が長射程ミサイルの国産化を急ぐという記事や第二次大戦の捕虜についての欧米の誤解を指摘した記事、中国の危うい経済状況を分析した記事も読まれた。これらはいずれも、日本の国益に関する内容の記事である。
英国も、日本も戦後、それぞれのやり方で、植民地主義の呪縛から解放され、自由と民主主義を重んじる「普通の国」として長き道程をともに歩んでいる。JFは、日本が今後も「普通の国」としての歩みを止めることがないよう、安倍氏の遺志を継いで日本を世界に発信していきたい。
(JAPAN Forward編集部)
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※「日本を発信」シリーズは、産経新聞のオピニオン面に掲載された記事を転載しています